ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.80
渋谷 UNDERBAR
- 渋谷UNDERBARについて
- 渋谷公園通りに2004年6月オープン。熱量がMAXに届くフロアと居心地の良いアットホームな空間は小箱ならでは。ヒップホップ、レゲエ、ハウス、ロックのDJイベントを中心に、ミュージシャンでもある店長の福大志氏が自らブッキングするバンドライブも魅力。ステージサイドで臨場感あるサウンドに身を委ねるもよし、バーカウンターで会話を楽しむもよし。種類豊富なお酒とGOOD MUSIC、人と人の「出会い」をつなぐDJ BAR。ファイアー通りに姉妹店UNDER DEER Lounge。
- 渋谷UNDERBARへのお問い合わせ
- 渋谷UNDERBAR公式サイト
渋谷区神南1-15-7 公園ビルB1F
TEL:03-3780-0858
イベント・パーティ&レンタル利用受付中
DJクラブ・バーの中の人に話を聞いてみた〜 渋谷UNDERBAR編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は渋谷UNDERBAR店長の福大志さんにお話をお伺いします。これまでの取材で「UNDERBAR」の名前が多く登場してきました。数あるDJ・ライブバーでも重要なお店だと認識していますが、オープンはいつになりますか?
オープンは2004年の6月です。当時は渋谷GAMEの2号店としてオープンしましたが、GAMEクローズの際に、今のうちのオーナーがUNDERBARを引き取る形で今に至ります。
福さんがUNDERBARに入る経緯を教えてください。
僕は2012年に入りました。当時UNDERBARの2階に系列店のカフェがあって、最初はカフェ勤務希望でした。将来的にカフェバーのようなものを自分でやりたいと思っていて、飲食業の経験もあったので、音楽にこだわりのあるここのカフェバーに応募したのですが…。
カフェ勤務にはならなかった?
はい。僕が入るときに「カフェの店長はもうほかの人に決まった」という事で、UNDERBAR の2号店としてオープンしていたUNDER DEER Loungeで1ヵ月間研修をし、その後UNDERBAR勤務になりました。週2日ほどはカフェの方を手伝い、さらに深夜はUNDERBARの営業も手伝っていました。
大変そうですが、それぞれの店舗で経験を積めたのは得るところも多かったのでは?
その通りです。ハードでしたが、やりがいがありました。気分転換にもなりましたし。
イベントについてお聞きします。基本的にはDJイベントがメインですね。
そうですね。ヒップホップ、レゲエ、ハウス、ロックのDJがメインです。バンドものもやります。僕自身、弾き語りをメインにずっと活動してきて、生音が好きなので、バンドに関しては僕のこだわりで、ほとんど自分でブッキングしています。
このスペースでの生演奏は臨場感がありそうです。お店のサウンド的な特徴を教えてください。天井のスピーカーが目立ちますね。
天井に4つのスピーカーを設置しています。うちの店はバーコーナーとDJブースに仕切りがないのが特徴ですが、スピーカーをDJブース・ステージ側に集約して、フロアのステージ側にいくほど素晴らしいサウンドが体感でき、バーカウンター側では会話がしやすいように配置しています。
福さんもDJをプレイするのですか?
はい、僕自身もDJをやります。若いロックDJが集まるイベントでは、あえてエアジャム世代の音楽をかけてみたりして、イベントによって選曲を吟味しています。
音楽でつながる世代間交流ですね。
若い世代でも、ハイスタンダードやブラフマンまでなら知っている人もいますが、さらに深いところまで掘り下げて、まだまだかっこいいロックバンドがあるよ、と伝えていきたい。それと、UNDERBARに出演してくれている、アーティストの曲をよくプレイします。すばらしい演者たちがいるんですよ。
ライブ音源をDJでプレイしてくれるなんて、ありがたいです。
ベテランの方、もっと多くの方に知って頂きたくて、僕が他のところでDJをやる時もよくかけています。少しでも宣伝の協力ができればというのがありますので。
今現在の音楽シーンを盛り上げる最良な手段の一つだと思います。それはお店のモットーでもあるのですか?
「モットー」と言うと、お店や代々店長の歴史もあるので一概に言えませんが、僕自身、人との出会いや関係をとても大切にしています。
人のつながりで、なにかが展開していくようなお店でありたい
お店の人が店内外で出演者を積極的にアピールしてくれるというのは、これまでありそうでなかった関係です。その熱意の源はなんでしょうか?
僕は、かつて約3年間かけて、弾き語りユニットとしてストリートライブで日本中を旅して回っていました。全国各地で多くの人と出会い、予想外の出来事にもたくさん遭遇して (笑)。「出会いの妙」というか、その魅力を再確認しました。そういう背景もあり、いろいろな人とつながって、新しくなにか展開していくような、そんなお店を目指しています。
人との出会いを大切にする福さんの音楽との出会い、これまでの道のりをぜひお聞きしたいです。
高校時代にメロコアバンドでボーカルをはじたのが最初です。僕は島人(しまんちゅ)、奄美大島の出身です。当時、1997年頃はハイスタ全盛期で、奄美、沖縄でもメロコア、スカ、パンク、ハードコアが流行っていました。
まさにエアジャム世代ですね。コピーバンドからはじめた?
はい。島にはバンドスコアなどないので、耳コピしていました。メンバーがアルバイトしているお店の地下の空きスペースに、自分たちで機材を持ち込み、チケットも手売りで旗揚げワンマンライブを敢行しました。
ライブハウスまで手作りとは「音楽にかける青春」の体現ですね!
その感覚はずっと忘れられませんでした。音楽で飯を食うなんて一握りだから、と自分を言い聞かせて、高校卒業後は美容師を目指して上京するのですが、美容師になってからも、すっと頭の隅っこで音楽をやりたいと思っていました。
音楽の道に踏み出すきっかけは何だったのですか?
ある日、美容師の先輩からアコースティックギターを譲ってもらったことがあって、それを機にストリートライブをはじめました。新宿のコマ劇場の前で歌っていましたね。その後、美容師は辞めてしまったのですが、今思えば、ギターをもらったことが人生の分岐点でした。
先ほどのお話で、全国まわりをした、弾き語りの相方さんともその頃に出会ったのですか?
歌の練習が毎日できるかも、という安易な考えからカラオケ屋でアルバイトを始めたのですが、そのお店で、とんでもなく真剣に歌っているヤツがいまして(笑)、これは一緒にやってみたいと。
カラオケ屋のバイトも出会いの場だったと(笑)。
そうなります(笑)。
北は稚内、南は奄美大島まで、弾き語りユニットで全国津々浦々を回った
それからユニットで全国津々浦々を回るわけですね。どうして全国行脚しようと?
東京での生活が、ずっと同じルーティーンでストレスがたまっていたというのはあります。同じ景色の毎日が繰り返される中、どんな音楽が出来るだろうか? このままの環境では新しいものが生まれないのではないか? そんな思いがずっとあって。ある日、セレッソ大阪(Jリーグ)試合前のスタジアムで歌わせてもらう機会があり、その感動をきっかけに本格的に行動に移そうと決意しました。
大観衆を前にした斉唱、この上ない体験ですね。いよいよ旅がスタートする。
はい。出発前に、旅中の無事を祈ってお互いのご先祖さまにお墓参りしてから、北は稚内、南は奄美大島までいきました。ただ、沖縄は行けていませんが(苦笑)。
旅中のエピソードは尽きないでしょうね。
それはもう、色んなことがありました。とある地方の市長にお世話になって「おさかなセンター」でライブさせてもらったり、休みだったライブハウスに友人を数十人を集めていただいて演奏させてもらったり。とにかく、人とのつながりを実感できる出会いがたくさんありました。
旅を通じて福さん自身も何か変わりましたか?
旅をしたことで、多くのことに気づかされました。本当にすばらしい経験でした。完全燃焼、…とまではいかないですけど、メンタルも存分に鍛えられましたし、自分は随分とちっぽけなことでイライラしていたなあ、と思って。家があるとか、屋根があるとか、壁があるとか、布団で寝られるとか、今まで「当たり前だと思っていたこと」が当たり前でないことを体験して、身の周りのささやかなことにも感謝できるようになりました。
雰囲気良かった、と喜んでもらえるのが1番うれしい
そういう旅の経験がお店づくりの面でも活かされている?
この経験がなかったら、お店を任せてもらえるようにはなっていなかったかもしれません。
人と人がつながり、一つの出会いからまた新しい軌跡が生まれていくのですね。
そうですね。いろんな人に出会って、会話をするなかで、驚かされたり、刺激を受けたり、いつも新しい発見がある、それが魅力だと思います。一見コワそうな印象の人でも話してみるといい人だったり、おとなしそうな人だと思ったらすごい酒豪だったり(笑)。好きな音楽のジャンルが違っていても、根っこの部分はつながっているわけで。「雰囲気良かった」とお客さんに喜んでもらえるのが何より1番うれしい。だから僕が率先してコミュニケーションを取っていきますよ。
福さんの人柄から初対面でも話しやすさが伝わります。それでは最後にUNDERBARからメッセージをお願いします。
UNDERBARは音と酒と人、この3つが融合したお店です。居心地の良さには絶対の自信があります。「LiveWalkerを見ました」と言って頂ければ、サービスさせていただきます。ぜひ、遊びにいらしてください(笑)。
ありがとうございます(笑)。UNDERBARの親しみやすさを肌で感じられる取材でした。本日はありがとうございました。
インタビュー特集一覧(バックナンバー)