ライブウォーカー バンドマンに捧げる不定期コラム

本日をもって解散します<解散三回目>

『バンド内の収入格差』

 

新年スタートのコラムなのに『バンドの解散理由』などという、あまりおめでたくないテーマでお送りしております。

 

今回は、前回の『THE・お金の問題』をさらに踏み込んで、中堅以上のバンド解散理由に多くみられる『バンド内の収入格差』に迫ってみましょう。

 

バンドが売れてくると少しずつバンド内の関係がギクシャクしてきます。この問題の根源の多くは、ずばり『誰が曲を作ったか?』という作品の著作権印税の分け前にあります。

 

実は、この『印税』という仕組みが、適当かつスーパーな差別システムなのです!(※印税 = CDの販売や、コンサート、放送などで使われた際に著作者に支払われるお金。)

 

 

バンド活動における著作権印税のほとんどは、作詞者と作曲者に支払われます。『作詞者』とは歌詞を作った人、主にボーカルが担当し、『作曲者』はメロディーを作った人です。

 

しかし、音楽には歌詞やメロディーの他に『リズム』というパートもありまして、これは重要かつ外せない役割です。が、しかし、不思議なことにリズムに対する印税が存在しないのです!

 

ようするに、どう考えても、ボーカルとメロディーを作った人だけにお金が入るシステムなんですわ。

 

 

確かに、リスナーに伝わりやすい部分は「歌詞」や「メロディー」です。しかし、音楽の完成に至りますには、歌詞やメロディーを吟味し、それらを活かすリズム・アレンジを作り、さらには、もっとも大切な要素“エゴ”も注入する。そんなリズム隊の活躍があってこそのバンドサウンドなのです。

 

「雇われの技術屋を集めたサウンド」と一線を画するには、バンドの屋台骨でもあるリズム隊のエゴや訛りは重要な作曲要素なのですよ!

 

 

もちろん、バンド内で複数の役割を担当している人もいるので、一概に全員に平等に分配しろとは言えません。ですから、「作詞・作曲・作リズム」というリズム枠まで作ってこそ相応な収入分配がしやすくなるというもの!

 

歌詞は作っただけで無条件に印税が入るのに、リズムは何を作っても印税が入らないって、どう考えてもおかしいだろ!?

 

まあ、実際はアーティスト印税やら、編曲クレジットなんかもあって、全く無視されているわけではないですが…、あんなものはリアル雀の涙。悲しきかな、リズム隊として楽曲制作に参加してしまった以上、印税に関しては、『チーム雀の涙』に区分けされるのです!

 

こんな調子ですから、ドラムやベースのリズム隊や作詞作曲を担当しないパートメンバーがヤル気を無くし、バンドが機能しなくなっていくのは常。もちろん、リズムパートも作曲者が作ってるなら話は別ですが、リズム隊がメロディーや歌詞に対してアイデアを出すときだってありますから、言い出したらキリがない。

 

それゆえに「作リズム印税」の導入が必要なのです! 

 

 

多くのバンドの作詞作曲担当メンバーは、印税システムの上にどっかりとあぐらをかいておりますから、結局は、自分の注文に文句を言わないプレイヤー(スタジオミュージシャンなど)を雇ってソロに転向しようというケースも少なくありません。

 

もちろん、ソロアーティストも素晴らしいですし、ワタクシも大好きなソロ作品はたくさんあります。でも、バンドとしては、この時点で『死に体』です。

 

このように、妙な印税システムのおかげで、バンド内で収入格差が起こり、解散もしくは脱退という事態が相次ぐのですね。小ネタになりますが、レッド・ホット・チリ・ペッパーズは印税収入をメンバーで等分していることで有名です。

 

つーか…、

 

 

そもそもレコード会社がお金持っていきすぎ!

 

いやあ、書けば書くほどネガティブになる内容ですが、いよいよ次回で解散シリーズもラスト。禁断のワード◯◯ちゃったで締めさせて頂きます!

 

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『◯◯ちゃった

 

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企画&ライター 浅井陽 - イラスト担当:こむじむ