第四夜 お酒の失敗〜<列伝3>
世紀末酒豪伝ドラマーNの知人M氏の巻
さあ『お酒の失敗』3話目です。前回(1回目・2回目)に続いてワタクシの知る最強レベルのお酒の失敗例を紹介しましょう。
今宵の話は、ワタクシが最近知り合ったドラマーNの知人だという剛の者、M氏のお話。活動的で怖いもの知らず、そして男に優しく女に厳しすぎると評判のM氏。さまざまな職業を渡り歩き、ためらいなく遊びまくるその様はまさに「豪傑」。
そんなM氏はあるときラーメン店を開業しようと決意。開店までの道のりを順調に歩みます。そして開店準備も整ったオープン前日、親しい友人や、友人の友人など、とりあえず集まれるだけ集まって飲み放題の前夜祭を決行。
「いくらでも飲んでもいい。」この言葉に嘘はありません。
ドラマーNの連れてきた酒豪達は、ここぞ、とばかりに飲み散らかします。そして繰り広げられた半狂乱の前夜祭、確実に全員が泥酔し、記憶なんてものが残ってるだけでもラッキーな状態。
さあ、気づけば念願のオープン前日だというのに店内中のお酒は全て飲み干され、店内に漂うアルコール臭、そして壁の至るところに飛び散った何かしらの大量の液体。
しかし生存者の奇行はエスカレート。床に垂れ流され水たまりと化した酒の中でスライディング大会! ラーメンのスープをお玉でまき散らす店長M!
あげくの果てには、突如ハーレーダビッドソンにまたがり発進。数秒後、道路の先で『どぉぉぉん!』という音が炸裂し、しばらくしたのち帰ってきた片手にありますのはハーレーのハンドルとタイヤのみ! ものの数秒でハーレーダビッドソンは大破した模様。 こうなると、酔っ払いとかじゃなくて狂人の集会! あえなく、お店はオープンを前に北斗の拳よろしく「世紀末状態」と化したのは言うまでもありません。
翌日、親戚を招いて新装オープンを迎えるも、台風直撃をくらった様相を呈した店内を目にし、親戚一同は唖然。非常にギクシャクした空気のままお披露目を終えることとなります。
しかもこの店長M、一日の営業が終わるとレジの売り上げのお金を鷲掴みにし、友達を誘って飲みに行くなんてことも日常茶飯事。友達全員にお酒を振る舞う豪遊三昧。友達から「そんなことして大丈夫なの?」と聞かれますが、剛の者M氏「自分の店だし、なんとかなるっしょ!」と、全くもってなんとかならないと思われるのだが、当の本人は善意でやってますからね。迷いなんてありません!
そんな調子ですから、勿論お店は潰れます。当然の如く借金の山。さあ、ここからが勝負! さっさと借金を返したいM氏は、その筋の方面に話を持ちかけます(←どの方面かは皆さまのご想像におまかせします)。
数週間でウン百万円のお仕事…、はい、まず
船に乗らされまーす!
果物と一緒に外国に輸送されまーす!
知らない国に着きまーす!
カバンと一緒に部屋に放り込まれまーす!
外人が部屋に入ってきまーす!
別のカバンと交換して去っていきまーす!
それらを数回繰り返すと拉致されまーす!
銃を向けられ死を覚悟しまーす!
と、あやうく泥酔が原因であの世に行きかけたM氏ですが、本当に何も知らないのでなんとか解放されたとのこと。その後、解放されたはいいけれど、どこにいるかもわからず言葉もわからないので、さまようこと十数時間、そして奇跡のごとくなんとか生還。
こんな逸話が、M氏の人生とともに今もどこかで量産されているというのだから恐ろしい…。
…ということで豪傑M氏のエピソードはここまで。お酒って本当に怖いですね〜。さあ、ここいらで酒物語も締めたいところですが、失敗すりゃいいってわけでもないでしょうから、最後は、ワタクシが考える『お酒を楽しむ方法』を少しだけ語りたいと思います。