イベント会場の魅力探索ガイド Vol.15

横須賀芸術劇場

歌声ひびけ、横須賀ベイサイド本格オペラハウス

横須賀芸術劇場は、京急汐入駅前の複合施設「ベイスクエアよこすか」内にある、大劇場(よこすか芸術劇場)と、小劇場(ヨコスカ・ベイサイド・ポケット)からなる横須賀市立の劇場・コンサートホール。通称:横芸。

横須賀の新しいシンボルとして、戦後日本のジャズ発祥地、EMクラブ(米海軍下士官兵集会所)跡地に1994年2月オープン。オペラやミュージカル、伝統芸能、クラシックからジャズ、ロックコンサートまで多彩なジャンルの公演や吹奏楽コンクールなどを開催する国内有数のオペラハウスである。

真紅のオペラカーテンが彩る馬蹄形の大劇場

ヨーロッパのオペラハウスを彷彿とさせる馬蹄形4層バルコニー形式。5階層1,806席、最大2,000人のキャパシティは、どの席からも一体感が感じられる設計。中央N列からZ列は2階バルコニーまで緩やかな傾斜でつながり、最前列AA列からF列はオーケストラピットとして取り外し可能。

平土間席(1〜2階)862席、2階バルコニー244席、3階バルコニー196席、4階バルコニー278席、5階バルコニー226席。

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多彩な舞台の楽しみ方もオペラハウスの醍醐味

よこすか芸術劇場のシートは、ゆとりある53cmの座席幅。長時間の鑑賞でも疲れにくく、座り心地の良い客席椅子を採用。とくに高所から舞台を眺める3階以上のバルコニー席はハイバックタイプで安定感もある。穴場の3階席、4階・5階のサイドバルコニーなど、座る位置によって景色も変わり、ふたつとない特別なストーリーが展開。

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ステージを輝かせる、影の立役者たち

ステージ演出に重要な役割を担う吊り物機構はコンピューター制御油圧駆動システムにより、なめらかでスムーズな転換、モーターの音を低減した静かなオペレーションが可能。

客席上部の天井部分には、指揮者を照らすコンダクターポジション(右上)、第1・第2シーリング(右下)、センターフォロースポットなど、さまざまな角度から人物や舞台装置を照らす照明設備がスタンバイ。

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スライド式3面舞台を駆使したダイナミックな場面づくり

本舞台(間口18m×奥行19m×高さ13m)と同じ広さの脇舞台が上手と下手にあり、スライディングステージ(18m×6m)4基、主舞台迫り(前・奥18m×6m)2基から構成されたスライド式完全3面舞台で、ジャンルのちがう舞台セットやシーン転換に対応。

可動シェルター方式の音響反射板で、クラシック演奏に対応した第一級のコンサートホールに。残響時間2.3秒(反射板あり)1.7秒(反射板なし)

オーケストラピットは4管編成が可能な大編成、小編成の2分割形式。

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「青の階段」は劇場ガレリアへのプレリュード

よこすか芸術劇場の入り口は「ベイスクエアよこすか一番館」4Fにあり、ガラス屋根のガレリアから客席2Fに入場する。客席1Fロビーの「團 伊玖磨コーナー」には、オペラ『夕鶴』や組曲『横須賀』、横須賀市歌も手がけた国際的作曲家、故・團 伊玖磨(だんいくま)氏が市に寄贈した自筆スコアの代表作(複写版)を展示。

大小13の楽屋と衣装部屋があり、楽屋8(18 人用)にはアップライトピアノ常設。特別楽屋12・13の先がオーケストラピットの乗込口。

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都内からも意外と近い、「国際海の手文化都市」よこすか

横須賀芸術劇場は、多彩なジャンルの公演を鑑賞できる「見る劇場」であると同時に、若手演奏家の支援、育成事業を柱としている。劇場専属のアマチュア合唱団「横須賀芸術劇場合唱団」や「横須賀芸術劇場少年少女合唱団」の運営、「野島稔よこすかピアノコンクール」などの音楽コンクール、新人音楽家のリサイタルを主催。チケット学割のほか、大学生を対象にした鑑賞モニター企画もあり、若い世代の劇場デビューをあと押し。

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所在地:横須賀市本町3-27 京急本線汐入駅からのアクセス周辺駐車場公式サイト

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MUSIC-MDATA編集部(取材日 2018年11月)

魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)

ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
横須賀芸術劇場の小劇場・小ホール施設。客席200~574席(最大850人)。可動床によりプロセニアム仕様、アリーナ仕様、張り出し仕様、平土間など多彩なステージ設定が可能。残響時間1.1秒。ジャンルを問わず多目的に利用できる。
よこすか芸術劇場バックステージツアー
1.劇場搬入口からスタート
荷捌き場は315㎡の広さがあり、トラックリフターと2基の舞台迫りで、3Fの舞台まで効率よく搬入出が可能。搬入用エレベーターに乗って舞台袖へ。
2. ステージでスポットライトを浴びる
オーケストラのチューニングが聴こえてきたら開演の合図。『カルメン』にあわせてオペラカーテンが開くと、眼前に広がる大劇場。主役気分でスポットライト体験。
3.美術バトンを操作
簡易的操作ができるサブ卓を使ってバトン操作の実演。3本のレバーを上げ下げして、油圧ポンプ式でパネルを昇降。バトンは最大11本同時に動かせる。
4.ギャラリーの機材見学
ステージ上部のギャラリー(8F)へ移動。ワイヤーで吊られたバトンや照明ブリッジを見学。バトンは1〜45まで数字が振られていて合計50本ある。
5.ピンスポットルーム
今度はピンスポットをあてる体験。右手をハンドルに添え、左手でレバーを傾けて光の大きさを変える。1台で一般家庭と同じくらいの消費電力(3kw)。
6.コンダクターポジション
ここはオーケストラピットの真上。その名の通りコンダクター(指揮者)を照らすための照明室で、下から上がってきた音が反響しないように設計されている。
7.客席からステージ・デモ鑑賞
3階バルコニー席へ。好きな座席に座って、スライディングステージと昇降迫り、舞台機構を駆使したステージ・デモンストレーションを鑑賞。
8.楽屋を自由に見学
客席2Fロビー (建物4F)を経由して、舞台下手袖から楽屋へ移動。大部屋から特別楽屋まで全13部屋。あのアーティストも座ったソファーでひと休憩。
9.オーケストラピット・指揮台
指揮者は黒の燕尾服を着ることが多いため、動きが見やすいように、指揮台の後ろだけ壁が白くなっている。1F搬入口にもどり約1時間のツアー終了。
サウンドペディア
横須賀市文化会館
横須賀市文化会館
1965年オープン。大ホール(1,098席)と中ホール(250席)を備え、市民の文化活動と発表の場として親しまれている施設。516席のホールを有する「はまゆう会館」と一体運営され、2034年頃をめどに建て替えと機能集約を検討。
汐入駅(京急本線)
1930年に横須賀軍港駅として開業。防諜上の理由から1940年に横須賀汐留駅に改称し、1961年に汐入駅となった。汐入(しおいり)の地名は、江戸時代後期に開拓された汐留新田の堰(せき)から山すその入り江を「汐入」と呼んだことが由来。京急追浜駅~横須賀中央駅にかけてトンネルが多く、トンネルとトンネルの間にホームがある。
汐入ターミナル
ショッパーズプラザ横須賀1Fベイサイドに2012年7月オープン。日本で唯一、米海軍と海上自衛隊の艦船を同時に見ることができるクルーズツアー「YOKOSUKA軍港めぐり」のチケットカウンター&観光案内所。入口の白いアーチは1990年に解体された「EMクラブ」のエントランス装飾を再現。内装のシャンデリアはEMクラブ廊下に飾られていた実物。