ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.24
吉祥寺 CLUB SEATA
- 吉祥寺CLUB SEATA について
- 吉祥寺エリア最大のキャパと洗練されたデザイン、バンドライブとクラブイベントに最適化した音響・照明設備でステージを演出。楽屋は3部屋で出演者のサポートも万全。大阪を中心に音楽スタジオ・ライブハウス・音響関連事業を展開する「ベースオントップ」が吉祥寺に2009年10月オープン。東京都内では大塚Deepaに続いて二店舗目となる。多彩なイベントで吉祥寺の音楽文化に新たな色をもたらしている。アクセスは吉祥寺駅北口から吉祥寺大通りを直進して約3分。
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- 吉祥寺CLUB SEATA 公式サイト
武蔵野市吉祥寺本町1-20-3 吉祥寺パーキングプラザB1F
TEL:0422-29-0061
ブッキング・ホールレンタル受付中
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 吉祥寺CLUB SEATA編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
吉祥寺CLUB SEATA ブッキングマネージャー 廣石 智也 氏
本日はよろしくお願いします。はじめに廣石さんのSEATAでのお仕事について教えてください。
吉祥寺CLUB SEATA(2009年)のオープニングスタッフで開店当初からブッキングマネージャーを担当しています。その前は、同系列店の大塚Deepaの店長をやってましたが、SEATA立ち上げの際に社長に集められて『SEATAはおまえらに任せる!』ってことで(笑)。そのままの流れで現在に至ります。
「SEATA」という名前の由来を教えてください。
とある外国語数字の「6」(※編:アラビア語数字の6を表す「スィータ」)の意味で、当社ベースオントップ系列のライブハウスのとしては6店舗目にオープンしたので「SEATA」と名づけたと聞いています。吉祥寺で「ジブリの森」が近いので、そっち系の由来だと思われがちですが…。
そっち系なのかな、思っていました(笑)。
おかげさまで、そういうのを面白がって、バンドがパロディーイベントをやってくれたり、フライヤーにもパロディー突っ込んできてくれたりします(笑)。
吉祥寺は地域密着型のディープで小さめのハコが盛んなイメージがあります。SEATAクラスのバコとなるとどういった運営形態になるのでしょうか?
キャパが500人ありますので、いわゆるライブハウス的なブッキングの他にホール的な営業(ホールレンタル)もやっています。僕の仕事としても、事務所やイベンターを担当することが増えてきました。バンドはもちろんクラブパーティー、アイドル、アニメ声優のライブなど多様なイベントで利用してもらっています。
やはり、最近はアイドルや声優のイベントは盛り上がっていますか?
人気グループのチケットはすぐにソールドアウトですよ。フロアーもパンパンです。うちより大きいハコとなるとキャパ1,000人クラスになるので、SEATAぐらいのキャパ(500人)が調度良いというイベンターは多いですね。
たとえばロック系バンドのライブで500人となると、なかなか難しいイメージもありますが。
バンドでもソールドアウトできる動員を持っている人気バンドもいますよ。でも、バンドの場合は逆に渋谷など都心の1,000人規模のライブホールでやっちゃうことが多いですね。昔からの流れってのもあって、クアトロ(渋谷CLUB QUATTRO)さんやリキッドルーム(恵比寿LIQUIDROOM)さんでファイナルをやるって、パターンだったりします。
人気バンドのライブホールツアー定番のスケジュールですね。
それでもウチでもやってくれることもあるんで、それはありがたいことです。ファイナルは渋谷で、もう一本、同じ規模でやってもチケット完売できる場合は、少し都心から距離のあるここ(SEATA)でっ、てケースもあります。でも、基本的な流れとしてラストはそこら辺(都心の大バコ)なのかな。
オープンして何年かは、吉祥寺の遊び場としてのお店のあり方みたいなものを模索していた。
個人的な印象かもしれませんが、吉祥寺という街からしたらSEATAはやっぱりちょっと異質だとも思うんです。クラブイベントもあってオシャレでセンスがいい。それゆえに「吉祥寺に馴染めるのだろうか?」とも思ったり…。
そうですね。オープンして何年かは、吉祥寺の遊び場としてのお店のあり方みたいなものを模索していました。飲みにいって知り合いを増やしたり、土日の深夜営業をしたりとか。それでも、遊び場というスタンスだけでやっていくには難しい部分が出てきました。
SEATAの広さで「遊び場感」を出すには相当な人数が集まらないと難しいかな…、と思います。
それだったら、SEATAのキャパ分のチケットを売れるイベンターも沢山居るので、彼らにハコ貸(ホールレンタル)しで活用してもらう方向性も取り入れました。まだまだお付き合いの少ないジャンルの方達が沢山いて、そんな方たちにも、もっと利用してもらって「SEATAよかったよ」的な話がもう少し幅広く広まってくれるといいなと思います。
お付き合いの少ないジャンル、とはどのあたりですか?
ダンス系は今までは少なかったですね。でも、SEATAはステージの広さもそこそこある(ステージ間口9.8m・奥行き4.8m)ので、ダンサーがある程度人数がいても踊れるんです。今では、近所の大学のダンスサークルが使ってくれることもあります。
吉祥寺は学生が多い街でしたね。
そうなんです。今まで軽音サークルのイベント利用等はあったんですけど、気付いたらダンスサークルの部員の人数や盛り上がりがすごい事になっていました。全国規模の学生ダンスイベントなんかもやってりするんですよ。自分が学生の頃は、軽音サークルの方が人数が多かったんですが、今はダンスサークルがイケてる傾向になってるのかな。
SEATAの雰囲気はダンス系イベントにも向いているし、女性にも好まれそうな空間ですよね。
女の子が喜んでくれると大体良い流れになりますよね(笑)。そこは大切にしている部分です。
バンド勢はどんな状況でしょうか?
ギターロックのバンドなんかも出てくれてますよ。ウチがやってるリハーサルスタジオを使ってるバンドが、スタジオのスタッフと仲良くなってSEATAを知ってくれて、そのままウチでライブをしてくれるって流れも多いです。そこはまさにライブハウス的なやり方を実践しています。
好きなものは現場で観たいはず。ライブは音楽がある限り無くならない。
このキャパでの様々なジャンルのアーティストを毎日現場でみている廣石さんから見て、現在の音楽業界やライブハウスはビジネス面ではどうでしょうか?
CDが売れないとか、大手CDショップが閉店したりとか、レーベルや業界全体的にはつらい状況だとは聞きますが、音楽がある限り「ライブ」は無くならないと思っています。今でもソールドアウトを連発してるアーティストもいっぱいいますしね。音楽が売れない理由が不景気だけなら、「衣・食・住」以外には、なかなかお金を使わないと思うんです。でも実際は、3,000円以上のチケット買ってくれるお客さんも沢山いますし、お酒も飲んでくれます。やはり、好きなものは現場でライブで観たいはずなんです。
生の良さはライブでしか伝わりませんからね。
アイドルイベントの盛り上がりだって本当に凄まじいですし、こっちも観ていて楽しいです。90年代のインディーズバンドブームのような熱さを持っていますよね。音楽的趣味を超越して、純粋に現場を楽しんでるお客さんは沢山います。
あの熱気と一体感は半端ない! ある意味ロックだと思います。
音を出す現場を好きな人は、どんな時でも変わらずに好きでいてくれてます。ただし、流行の変化というのは確実に存在するので、現場としてはそれに自分をどう合わせていくか、という部分が重要になってくるんです。
まさに現場は生き物、腕の見せ所ですね。
そのとおりです。日々勉強です。
SEATAクラスのキャパを常に満員にしているアーティストの共通点などありますか?
共通点…、なかなか難しいですね。長いスパンでチケットをソールドアウト出来るような動員を持ち続けるアーティストは少ないので…。
移り変わりが早いですからね。それでも生き残っているバンドは本当に凄いです。
僕自身、SEATAでチケットをソールドアウト出来る『今旬な人達』と仕事をさせていただいていますが、彼らがこの先も活動を続けもっと動員をつけてメジャーな存在になってもらって、そしてふとした時に、またお付き合い出来たら嬉しいことだなあと思います。
ブレイクしたバンドが原点のような場所に戻って来てくれると嬉しいですよね。
アーティストだけが頑張っていても難しい一面はあると思います。誰かがどこかで頑張ってくれていると思うんです。CD売ってくれる人がいて、イベントをうってくれる人がいて、全てが絡まないとなかなか難しいことなんじゃないかな…。
多くの人々を巻き込めるアーティストが生き残るのかもしれませんね。本日ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
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