LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.71

渋谷 RUBY ROOM

渋谷RUBY ROOMについて
渋谷道玄坂に2002年オープン。バンド演奏ができる半円形ステージ、良質なサウンドシステムとDJブースを装備したクラブ・ライブバー。独創的な内装デザインの空間では、4つ打ち系からロック、レゲエ、ハードコアまであらゆるジャンルのライブ・イベントが夜昼の切れ目なく展開するMUSIC LOVESランデヴー。90年代より有名DJによるパーティーで、多様なストリート音楽を発信してきた渋谷Sugar Highを前身にもつ。道玄坂小路(ハチ公が目印)に入り、『麗郷』横の坂をのぼった右手。
渋谷RUBY ROOMへのお問い合わせ
渋谷RUBY ROOM公式サイト
東京都渋谷区道玄坂2-25-17 カスミビル
TEL:03-3780-3022

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜渋谷RUBY ROOM編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

渋谷RUBYROOM ブッキング・オーガナイザーPOPPO氏

本日は渋谷RUBY ROOMのブッキング兼オーガナイザーPOPPOさんにお話をお伺いします。本企画では、はじめての居酒屋での取材となりますが、何卒よろしくお願いします(笑)。

飲みながらの方がおもしろいかなと思いまして。居酒屋でラジオ収録をしたこともありますよ(笑)。

暴走しないようワタクシは控えめで…。まずはオープンの経緯からお聞かせください。

昔、渋谷の百軒店で「Sugar High」というクラブを運営していて、15年ほどにここに移転して「RUBY ROOM」としてリニューアルしました。RUBY ROOMとしてのオープンは2002年になります。

POPPOさんが入られたのはいつごろですか。

僕は2013年に入りましたが、Sugar Highの頃からお客としては通っていました。

「Sugar High」時代から、お店の方向性や雰囲気も変化したのでしょうか?

はい、変わりましたね。Sugar Highの頃はDJパーティーがメインでしたが、RUBY ROOMになってからはDJに加え、バンドライブもできるようになりました。

移転する前からバンド・ライブできる場所を考えていたのでしょうか?

そうだと思います。そのためにステージまで作りましたからね。RUBY ROOMが入った物件は、それまでスナックとかカレー屋とかちょこちょこ入れ替わっていて、トランスイベントのアフターパーティなどでも使用されていたお店だったようです。

お店の特徴について教えてください。

オーナーがアメリカ人なんですよ。なので、とにかく外国人が多い! 海外版「地球の歩き方」みたいな「ロンリープラネット」という有名なガイドブックがあるのですが、毎年そのガイドブックにも掲載されているそうです。

RUBY ROOMといえば、あの「ガチンコの演奏」、近隣からの苦情などはありませんか?

完全防音の設備ではありませんが、その中でギリギリの線を探しています(笑)。

ギリギリの線(笑)。大丈夫でしょうか。

下の階が焼肉屋さんで仲も良いので、どんなにガンガン音を出していても多めに見てくれてます(笑)。ただ、向かいのラブホテルさんからの苦情はあります。ラブホテルに行く人は(ある意味)楽しんでいるはずなのですが、やっぱり、うちはちょっと「お忍びの空気」にはそぐわない雰囲気なのはその通りでして…(※以下会話省略)。

少しスリリングな方向に向かいそうですのでお話をお店に戻しますね。サウンド面の特徴をお願いします。

PAに関しては、Sugar HighからのJBL(スピーカー)も良い音がしていますし、メンテンナンスをVENT(表参道)やOATH(青山)などで人気のPAエンジニアにお願いしています。「音が良い」と言われているハコに匹敵しているはずです。

バンドや出演者の傾向もお願いします。

出演バンドはオールジャンルなので多種多様で。クラブイベントに関しては4つ打ち系が多いかな。

クラブ寄りの印象がありましたが、コアなバンドも出演していたのが驚きました。

ロック、レゲエ、そしてハードコアなど何でもありです。MINOR LEAGUE の(柴田)匠さんが、うちのブッキングスタッフもしているんですよ。そのつながりでハードコア界隈のバンドも出演するようになってきました。

4つ打ちからハードコアまで、真性のオールジャンル箱なのですね。

はい、いろんなイベントが毎日入っていて、週末2回はパーティーです。

翌日の昼までやいることもザラ(笑) ほぼ眠らないお店

しかも、結構な長丁場のイベントをやっていますよね?

翌日の昼ぐらいまでやっていることもザラです(笑)。この前の15周年アニーバーサリーイベントは、夕方6時から翌日の午後3時までやっていました。しかも、すぐ後の4時からリハーサルがあって、5時からは、もう別のパーティーが始まるという(苦笑)。ほぼ眠らないお店ですね。

スタッフの身体もよく持ちますね。

スタッフは、バンド担当、クラブ担当合わせて12、3人いて、他にもヘルプのスタッフも入れるので、それなりに回せるんです。それでもアニバーサリーの時は辛かった(笑)。

イベントの始まりから終わりまで全参加するような猛者もいるのでしょうか?

たまにそういう人もいますが、さすがにどっか行きますよね(笑)。RUBY ROOMはあくまでバーで、再入場可なので、イベントの途中に、ご飯を食べに出たり、近所のライブハウスに寄ってきたりなど、自由に出入りしています。

なるほど、そこはライブバーだからこそのメリットですね。逆にデメリットを感じる時は?

うちの店に限っての話ですが、外国の方の中には酔っ払うと大変な人も…。唐突に酒をかけられたり、ジョッキで殴られたりしたこともあります。暴れ方にも迷いがないというか…。もちろん、そんな人ばかりでなくて、外国のオープンなノリで楽しんでくれる人達の方がほとんどです。

国際的な客層ならではの様相がみられるわけですね。

それらトラブルも、多くはCLUBタイムですね。LIVEタイムはお行儀がいいですよ。ただロックンロール系の人はマナーの悪い人たちも少なからずいますね。

ここでジャンル限定しちゃって大丈夫ですか(苦笑)?

大丈夫です! 革ジャン系の人たちが集うと、缶ビールを持ち込みされたりして汚くなることが高頻度であるんですよ。バーなので出演者も本当は持ち込みNGですけど、ライブハウス文化とは違う習慣なのかな。控室、楽屋がないので丸見えで、お客さんに持ち込みオッケーだと思われたら困るんですよ。

あまりよろしくない光景です。やはり人対人の接客サービス、しかもお酒と音楽を楽しむ場所ですから、機転を利かせた対応が求められますね。

そこがむずかしいところです。常連さんが寝ちゃって起きないなんてこともよくあるし(苦笑)。ただ、その反面、ここRUBY ROOMの常連さんは魅力的な人が多いし、おもしろいスタッフが揃っているので、この業界にしては離職率が低いめずらしい箱です。

この業界といえば、ブッキングの厳しさもよく耳にする話です。RUBY ROOMはDJ、バンドブッキングも充実していますね。

スケジュールを埋めようと頑張っている時期もありましたけど、今では、アーティストの方から出演したいと言っていただけることも多くなってきました。おかげさまで土日は、2、3ヶ月先まで埋まっている状況です。

プロ野球のシーズン開幕前に野球好きで集まろう

POPPOさんはイベントのオーガナイザーでもあります。なにかユニークなイベントがあったら紹介してください。

今年で3年目になる、野球好きのDJが集まるイベントをやっています。プロ野球のシーズン開幕前に野球好きで集まろうじゃないか、というきっかけで、最初は遊びで始めたのですが、徐々に本気モードになってきました。

野球のパーティー?どのようなイベントか詳しく教えてください。

スタジアムに行ったことがないと、よくわからないかもしれませんが、野球場って毎試合フェス会場みたいになっているんですよ。各選手の入場曲もありますし、応援歌もありますし、球団歌もある。回の途中にはダンサーが出てきて、trfが爆音でかかり、スタンドのお客さんも歌に合わせて踊ったりして。その雰囲気をクラブで再現しちゃおうぜ、というパーティーイベントです。

まさにボールパーク!そんな熱くて愉快なイベントをしていたとは。

カープ芸人のBBゴローさんや、横浜ベイスターズの熱狂的なファンで知られるコラムニストの村瀬秀信さんをお招きしたこともありました。

POPPOさんの本気度が伝わります。イベントはどの位のペースで?

「開幕前夜」「オールスター前夜」「クライマックス前夜」の年3回です。現在、「キャンプバージョン」もやってくれと言われていますが、赤字でやっているので、どうしようかと思案中です(苦笑)。

自主イベントを赤字で続けるとは、ただならぬ情熱。

いやあ、それはもう素敵な野球バカたちが参加してくれています(笑)。DJのギャラはプロ野球チップス。お客さんは全員ユニフォーム着用。六甲おろしや東京音頭など、球団歌を回したり、「ジェット風船タイム」では、みんなでジェット風船を飛ばしたりします。

この話を聞いて、ぜひ参戦したいという方もいると思いますよ。

初めての方も、推しチームのユニフォームを着て遊びに来てほしいです。みんなテクノやヒップホップのDJなので、ミックスが上手いですよ。わざわざリミックスを作ってくる人もいます。

思いっきり盛り上がってもらいたいですね。ではラストにRUBY ROOMからメッセージをお願いします

まずは気軽に遊びにきてください。1人で来ていただいても大丈夫です。その日、1番元気そうなスタッフに話しかけていただければ虜になること間違いなし!2回3回と来たくなる箱だと自負しております。

その「一番元気そうなスタッフに…」という所が肝ですね(笑)。連夜のイベントに尽瘁する個性あふれるスタッフさん、RUBY ROOMの魅力を存分に伝えていただけたと思います。ありがとうございました

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2017年12月)

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道玄坂(渋谷区)
道玄坂(渋谷区)
渋谷駅ハチ公口を出て、109前からR246へ上がる「道玄坂」は、宮益坂と並ぶ渋谷で最も有名な坂。スクランブル交差点から坂上まで高低差約20m、渋谷は谷底につくられたターミナルだ。道玄坂(DOG-EN-SAKA)には1~9の数字がついた街路灯がある。8の手前より「道玄坂小路」に入って程なく、麗郷のY字路にさしかかる。右に進めば文化村通り、左の坂を上ればRUBY ROOM、三角地帯の向こうは渋谷一のディープエリア百軒店。
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