ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.33
- 代々木labo について
- 代々木に2004年12月2日オープン。代々木駅西口から徒歩3分。階段を降りた地下には深海をイメージした異空間が広がる。立ち上げ当初より一貫してバンド育成に力を入れ、日夜ライブの現場から新たな才能を見出し、ともに歩み成長し、音楽シーンに送り出してきた「labo」。店長ハロー松田氏を中心にスタッフ全員がアーティストと一体となり、LIVEの感動にこだわったステージを繰り広げている。
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渋谷区代々木1-31-12 日綜代々木ビルB1F
TEL:03-5354-3120
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ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 代々木labo編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

Live labo YOYOGI 店長 ハロー松田氏
本日は代々木labo店長、ハロー松田さんにお話をお伺いします。代々木でも有名なライブハウスです。設立の経緯について教えて下さい。
2004年の12月2日にオープンしました。今年で12年目になります。府中フライトの店長でもあった、現在のうちの社長が建てたライブハウスです。その昔、代々木にはチョコレートシティ(※現在閉店。80年代から都内を代表するライブハウスの一つ。)があり、そのあとライブハウスらしいライブハウスは無かったようで、何年か後にうちができて、それからZher the ZOO(※下北沢CLUB QUE系列のライブハウス)さんができました。
それまで代々木にライブハウスがなかったのは意外でした。ジャズバーなどは多いですよね。
そうですね。ジャズバー系のお店やアコースティック系のライブハウスはありますし、リハーサルスタジオも多いので、バンドマンには割と馴染みが深い場所ではないでしょうか。
ライトアップされると、とても綺麗でお酒もすすみそうな雰囲気のハコです。代々木laboはどのようなライブハウスを目指したのですか?
コンセプトとしては、深海をイメージしています。証明のLEDライトを青にして、海の映像などをプロジェクターで流したりもしています。立ち上げた当時は、社長が前に店長をやっていたライブハウス時代からバンドの育成に力を入れていたので、laboも、その流れを受け継いでいる部分はありますね。
laboでは以前クラブイベントなどもやってましたよね?
4、5年前まではクラブイベントも深夜イベントも色々やっていましたね。サワサキヨシヒロさんなどもよくDJのイベントやってくれていましたね。
最近はクラブも規制が強くなりましたが、そこら辺の影響はありますか?
棲み分けって意味でもハッキリしていましたが、最近はクラブ寄りのイベントは顕著に少なくなってきましたね。
風呂無しエアコン無しのアパートで、全国ぐるぐるまわるのに疲れた(笑)
松田さんがlaboに入るきっかけを教えてください。
僕は、2007年の4月に入ったのですが、それまではずっと『レッサーパンダ』(※2007年まで活動・松田氏はボーカル)というバンドをやってました。風呂無しエアコン無しのアパートで、全国ぐるぐるまわるのに疲れてしまって(笑)。それで、就職しようかなと思って。
「レッサーパンダ」という素晴らしい名前のバンドはどのようなサウンドだったのでしょう?
青春パンクって言われてましたけど、自分たちはそういうつもりは全然無くて、歌モノだとかギターロックだと思ってやっていましたよ(笑)。
ガッツリ、バンドマンだったのですね。それでバンド活動後にライブハウスを選んだ?
ライブハウスの仕事なら、それまでのバンド活動の経験が活かせるとは思っていましたが、最初は、(音楽以外の)普通の仕事か、レーベルとかマネージメント等の仕事をしたいと思っていました。けど、ライブハウスに入ったら楽しくなっちゃって、それ以来ずっとここですね。
最初からライブハウスに入ろうと思っていたわけではなかったのですか?
実はバンド活動中は、打ち上げも気分が乗らないと帰っちゃったり、あんまりライブハウスにも遊びに行かない方だったので。今から思うと寒いバンドマンだったなあって思いますが(笑)。

スタッフとしてのライブハウスの魅力はどのあたりに感じましたか?
バンドマンからダイレクトに、「楽しかった」、「良いライブができた」、「スタッフの対応がよかった」、「良い対バンとできてよかった」と喜んでもらえる。さらには、お客さんも良いライブが観れて楽しかったと喜んでくれる。同時に2種類の喜んでくれる人がいるんです。こういう仕事はなかなか他にないんじゃないかな、と思います。
それはライブハウスならでは、といえますね。
例えば、物を売るような一般的な仕事であれば、仕入れをして、売る人がいて、買う人がいて、それぞれの場面でありがとうという気持ちはあるとは思いますが、ライブハウスは演者さん、お客さんが同じ空間を共有して、同じ時間で喜んでくれる。これって、すごくラッキーな仕事だなって思います。
ザ・ブルーハーツのTRAIN-TRAINに衝撃を受けた
すこし話が戻りますが、松田さんがバンドを始めるきっかけというのは?
ザ・ブルーハーツですね。ちょうどレコードとCDの過渡期の頃だったんですが、なかなかプレイヤーを買ってもらえなかったので、友達にカセットにTRAIN-TRAINを録ってもらったんです。「なんだこりゃ!?」って衝撃を受けました。それから毎日のように聴きこんで、いつの間にか「音楽で飯を食おう」って思っちゃったんです。
人生に影響を与えるような強烈な音楽体験だったんですね。
その頃は、演者1本でやっていこうと思っていたんで、バンドをやろうとベースを買ったり、家にあったアコギを弾いたり、歌を歌ったりしていました。友達がスタジオに入った際に、たまたま遊びに行ってみたら、そのままボーカルをやらされたり、その後はベースが辞めたから、結局ベースを弾くことになったり。ついでにギターも弾いてみたりと、一通やりました。
それから、バンド一筋の人生になるのですね。
はい、その後スタッフとしてライブハウスで働くようになって今に至ります。
ライブハウスメインエリアといえば新宿・渋谷・下北沢あたりになります。代々木にあることのメリット、デメリットについて教えて下さい。
やはり、家賃、立地条件でしょうか。代々木は、渋谷、新宿よりは家賃が多少は安いはずです。そして、あとは駅からの近さでしょうね。うちは駅から近くにあるので、来る人の利便性は意外とあるかなあと思います。
確かに改札を出て交差点を渡って徒歩3分と近くて、わかりやすい立地です。
新宿だとホームから階段を降りて、改札を抜けて、なんだかんだ、表に出るまでに10〜15分歩くことになると思うんです。うちは新宿から電車で1駅乗らないといけないんですけど、改札もすぐなので、結果、歩く距離は少ないしアクセスしやすいんですよ。

代々木は「2番目」に選んでもらえる土地柄かもそれない
新宿駅は巨大ですからね。代々木のライブハウスは長く続いているという印象もあります。
うちを中心にやってくれるバンドもたくさんいますけど、基本的には「新宿でもやるけど代々木でもやる、下北でもやるけど代々木でもやる」といった、いわゆる2番目に選んでもらえる土地柄かもしれない。良い意味で色が無くて、バンドさんにとっても、やりやすい場所なのかなと思います。
ところで、ステージから見えるところにデジタル時計がありますね?

laboのブッキングイベントでは、開場・開演時間を遅らせることはほぼありません。開始時刻にお客さんが来ているのに、後から来るか来ないかわからない人の為にSTART時間を遅らせることはない、と考えてのことです。基本オンタイムで始まってオンタイムで終わります。5分でも押せば、その原因を考えお店でできる事なのか、バンドさんにして対処してもらえる事かを区別して対応しています。そのせいか、「どうせ10分くらい押してるだろうな」って考えて来店される方が減りました。もちろん、アクシデントもあるので時間を遅らせる事もたまにはあるますけどね。
お客さんを増やすにはどうしたらいいか、バンドと一緒に考えたい
先ほど、バンドの育成にも力を入れているとの話しがありました。松田さんから出演者にアドバイスすることもあるのですか?
僕から何か言うというよりは、バンドマンと一緒に音楽のことを考えたり、本人たちが「わかっているけど気づいていないふりをしている部分」について、言及してあげたりするのが仕事だと思っています。
気づいていないふりをしている部分、というのは例えばどういう事でしょうか?
ライブそのものは楽しいものであるべきですし、うちも雰囲気、演出で全面的にサポートしていますが、例えばプロやさらに上を目指して活動しているようなバンドだったら、「今日の演奏レベルで“音楽で食いたい”なんてマズイんじゃない?スタジオ練習を週1回しかしてないなら週3くらいでやるといい。」と伝えたりもします。リズムやピッチの悪さに気付いてるのに直せてないなど、音楽自体もそうですが、活動の仕方とかも含めて、ちゃんと本人たちのためを思って言ってあげる人が必要だと思うんです。
愛情あふれるアドバイスですが、へこんじゃうバンドも多そうです…。
へこんじゃうバンドは少なからずいますよね(苦笑)。ただノルマを払って、ライブをやって満足してもらう、そんなことのためにライブハウスをやっているわけではありませんから。バンドマンにはギャラをもらって帰ってもらいたいので、お客さんを増やすにはどうしたらいいか等を一緒に考えられたらと思います。なかなか、動いてくれるバンドは少ないですけどね…。

バンド一筋で生きてきた松田さんだからこその情熱のこもったお言葉、ありがたいです。それでは最後に松田さんからのメッセージをお願いします。
僕はバンドをやるからには売れて欲しいと思っています。だから、一生懸命ガツガツと活動して欲しいです。ライブの本数をガツガツ、という意味ではなく、お客さんが喜んでくれる活動内容をちゃんと考えて、しっかりと行動して欲しい。そして、バンドを見に来てくれるお客さんには、自分の好きなように楽しんでもらいたい。うちは「3杯セット1200円」というお得な設定もあるので、お酒飲んで、良いバンドを観て、1つでも1分でも目当て以外のバンドを観て欲しいです。
ライブハウスで素晴らしいバンドを発見した時は、本当のファンになりますからね。
音楽には色んな楽しみ方があるように、ライブハウスも、それぞれのやり方で楽しんで欲しいです。うちに出ているレギュラーバンドでも、変な奴、かっこいい奴、そんな奴らが沢山いるので、ぜひともlaboを楽しんでください。
これからもっと多くの人がライブハウスに足を運んで、心に電流が走るような音楽に出会ってくれることを期待します。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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