ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.9
Live&Pub Shibuya gee-ge.
- Shibuya gee-ge.について
- 2013年9月でオープン3年を迎える渋谷のBAR&ライブスペース。夕方〜10時までは、ポップス・アコースティック系中心の演奏が楽しめる。ライブ終了後はBARとして営業。BARタイムにはライブと一変してゴリゴリの有名ロック系ミュージシャンも集うロックバー的な雰囲気が楽しめる。キャパは最大100〜120名。水曜定休日。
- Shibuya gee-ge.のジャンル
- 基本方針は「何でもありの箱」を目指しているが、ブッキングマネージャーによると、グランドピアノでの弾き語りやアコースティックなスタイルがメインで「メジャーに行くタイプの王道のポップスライン」のシンガーソングライターに力を入れているとのこと。アコースティックサウンドであればバンド演奏も可能だそうだ。
- Shibuya gee-ge.に出演しよう!
- 特にシンガーソングライターの方はぜひ音源を送ってほしいとのこと。大手メジャーレーベルのアーティストのデビュー前ライブが行われるなど、特に弾き語りアーティストにとってはぜひ挑戦したい箱。お客さんからの紹介でライブを観に行ったりネットで音源を聞いてオファーをすることもあるそうだ。
- Shibuya gee-ge.へのお問い合わせ
- Live&Pub Shibuya gee-ge. 公式サイト
渋谷区宇田川町3-10 フィエスタ渋谷4F
TEL:03-6416-3468
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 渋谷gee-ge.編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
はじめまして、本日はよろしくお願いします。では、最初に渋谷gee-ge.のことについて教えて下さい。
よろしくお願いします。gee-ge.は、渋谷の円山町にある7th FLOORの元スタッフが独立して作った箱なんです。当時の7th FLOORの店長、音響、バーテン、そして僕らがgee-ge.に移ってきて9月で3周年を迎えました。基本はアコースティック系のライブステージがメインで、ライブ終了後からBARタイムになります。7th FLOOR時代からバーテンダーの人脈でゴリゴリのロック野郎が集っていて(笑)夕方は「アコースティック」深夜は「ゴリゴリのロック」っていうお店になっています。
夜はロックBARになるんですか?!イメージ沸かないです(笑)
そうなんですよ。BARタイムは、ホントそういう感じですね。ロック兄ちゃん達が「よいしょ〜っ」て飲んでます(笑)アコースティック界隈とロックやヴィジュアル界隈が交流できるのも面白いところかなと思います。
ライブのジャンル的にはアコースティック系がメインなのですか?
そうですね、ポップスの弾き語りがメインです。
では、次に川合さんのことについて教えて下さい。川合さんもご自身でバンド活動をされているのですか?
僕は本業がお笑い芸人なんですよ。浅井企画(関根勤やキャイ〜ンが所属)という事務所に所属して13年やっています。「チョイチャック」っていうコンビでライブをやったり、たま〜にテレビに出させてもらったりしています。
ハセガワミヤコさんのCDを買って帰って家で聞いたアルバムの一曲目でやられちゃったんですよ。
そうだったんですか!どうりで、お話が上手でインタビューが楽です(笑)そんな川合さんが、なぜ音楽の方のお仕事につくことになったのですか?
10年くらい前にさかのぼりますが、もともと音楽にはまったく興味なかったんです(あっさり)
それで、芸人活動のなかで藤田大吾さんというミュージシャンの方と一緒にイベントをやる機会があって、僕らは司会担当だったのですが、そのイベントのおかげで、ゲストで来られたミュージシャンの知り合いが増えていって。せっかくだからと、ライブを観に行くことになったんです。
それで行ったのが「ハセガワミヤコ(入倉都)」さんというシンガーソングライターのライブで。CDを買って帰って家で聞いたアルバムの一曲目でやられちゃったんですよ、僕。なんでか分かんないですけど。そこから「ハセガワ ミヤコのライブは全部行く!」という生活が始まったんです。
うわっすごい!おもいっきりハマってしまったんですね。
はい、もともとハマり症だったのが一気に噴出しました。ハマったものにすべての時間とお金をつぎ込んじゃうという癖(へき)があるんです(笑)歴代でいうと、漫画、女子プロレス、映画、料理(川合氏は調理師免許とフードコーディネーターの資格を持つ)ときて、女性シンガーソングライターにはまっていきました。
「ハセガワ ミヤコ」さんのライブをきっかけに、ブッキングの対バンでいろんなアーティストを知って、雪だるま式に好きなアーティストが増えていって・・・お笑いの仕事以外は、ほぼ毎日ライブを観に行くという所謂ライブジャンキーになったんです。僕はその中でもバンドとかじゃなくて、女性シンガーソングライターっていうポジションにハマりました。
まったく音楽に興味がなかったところから(笑)
そうなんです。いつもはハマってから2〜3年くらいで飽きてくるんですけど、唯一、女性シンガーソングライターだけは8年くらい続いているので、今回ばっかりはもう一生かけてやっていくんだろうな思っているんですけどね。お笑いは別として。
そこから音楽のお仕事に?
そんな最中、7th FLOORにライブを観に行った時に「スタッフ募集」というのを見つけて、ちょうどバイトを辞めるタイミングだったので、これは何かのいい機会だと思って、そこで働きだしたんです。
最初はBARスタッフとして深夜11時から働いてお笑いの活動をしながら、毎日のように女性シンガーソングライターのライブを観に行ってたのですが、あまりにライブに熱心なので「イベントやってみたら?」と言われて、空いている日を使って好きなアーティスト4組呼んで、初めてブッキングといわれるものをやったんです。
7th FLOOR時代までは月数本というペースでしたが、gee-ge.を立ちあげることになってからは一ヶ月のスケジュールを全部埋めるという、いわゆるブッキングマンをやるようになりました。
ハマり症が功を奏しましたね(笑)gee-ge.は、アコースティックのライブが中心とのことですが、出演されるアーティストってそんなに沢山いらっしゃるものなんでしょうか?
アーティストはたくさんいますよ。ピアノ弾き語り、ギター弾き語りだけでも、ソロで弾き語りやっている人は何百何千といると思います。
ブッキングがなかなか大変というお話も聞いたことがあるのですが、そういうことは無いんですね?
アーティストが少なくて苦労するという感覚はありませんね。アコースティック系のソロアーティスト、シンガーソングライターとして活動している人は大勢いるんです。そしてアコースティック系のライブハウスというのも沢山ありますし。
スケジュールを見せていただくと女性シンガーソングライターが沢山いらっしゃるようですね。
そうですね、僕が個人的に好きだからっていうのもあるんですが(笑)それが、gee-ge.のイメージになっちゃうのも申し訳ないと思いつつ・・・男性アーティストやバンドもブッキングしているんですが、まあ、僕のブッキングに関しては、女性シンガーソングライターが多いですね(笑)
デビューしたからには誰もが知っているような、有名なアーティストになってもらいたいと思っています。
gee-ge.に出演していたアーティストでデビューされた方も多いんですか?
はい、gee-ge.はオープンして3年ですが少しづつ理想に近づいているかなと思います。ここ最近デビューしたアーティストで言うと、「NIKIIE」「小南泰葉」「山崎あおい」「Rihwa」「見田村千晴」「黒沼英之」「ハルカトミユキ」など、これからデビューする予定のアーティストもたくさんいます。
沢山の方が活躍されてるんですね!最近一押しのアーティストは?
押したいアーティストが多すぎるのですが・・・僕的には、7th FLOOR時代から僕のイベントに毎月出てもらっている「杉恵ゆりか」というアーティストですね。ずっと応援していてメジャーに向けて頑張っている所です。 あとは「コレサワ」というアーティストがいるんですけど、ギターのポップな感じなんですが、この子も早くメジャーに行ってほしい一人です。 他にも、「ヒグチアイ」「関取花」「吉澤嘉代子」「アサミサエ」「YuReeNa」「日食なつこ」「葉山久瑠実」「ゆり花」・・ああ、もう!あと100人くらいはいますよ!(笑)
僕は自分が芸人をやっていることもあって、やるからには「メジャー志向であるべき」だと思っているんです。デビュー前からgee-ge.で活動していたアーティストには、やっぱりメジャーデビューしてブレイクしてもらいたい。そして、デビューしたからには誰もが知っているような、たとえば女性アーティストならaikoさんとか椎名林檎さんとかくらい有名になってもらいたいなと思ってるんです。
川合さんから見て、ライブシーンを盛り上げていくために、これからどういったことが必要だとお考えですか?
僕の感覚ですが、近年ライブハウスがすごく増えてるじゃないですか。同じ日にあっちでもこっちでもライブやイベントをやってる状態でお客さんの取り合いじゃないけど、そんな感覚がありますね。
だから、アーティストもライブハウス側も、ライブハウスに遊びに来てくれる人の全体数を増やすために頑張ってはいるんですけど、それだけじゃ足りない。普段ライブハウスに足を運ばない層にも興味を持ってもらう必要があるんですね。
そのための一つとして、アーティストも、ニコニコ動画とかUstreamとか、積極的にやらないといけない時代になってきてるのかなと思います。地方に住んでいても関係なくできますからね。実際に、ニコニコ動画の歌い手さんの中には、Twitterのフォロワーが何千何万といるような人もいて、自分だけでCDの売上やライブの集客が成立しちゃうんですよね。普段ライブハウスに来ないようなお客さんも取り込んでいるんです。
へぇ〜すごい(感心)
これってすごい事で、ライブ活動だけでもメジャーデビューまではできるとは思うんですが、デビューしてからを考えると「十分な宣伝してもらえるのか?」「どう流通するのか?」・・・お金をかけてサポートしてくれるとは限らないじゃないですか。レーベルにもよると思いますけど。でも、ニコニコ動画の歌い手さんたちは宣伝費がかかってないわけですよ。自分のパソコンの前で放送していながら、アーティスト活動を続けるための基盤を持ってるんですね。そういうアーティストが現実に出てきているんです。
インターネットのない時代には考えられなかったことですね。
アコースティック界隈だと、人気アーティスト曲のカバーで動画サイト等で注目を集めた「Goose house」なんか最近もっとも成功した例ですね。Goose houseとして横浜BLITZでライブをしましたが、メンバー個人がソロでライブをやっても動員をもってるんです。 彼らの功績として素晴らしいなと思うのが、ライブハウスに来たことがないような層の人たちを、ネットの世界からからライブハウスに運んできてくれたことなんですよ。
彼ら(Goose houseやメンバーのライブのお客さん)はお目当てのバンドだけ見て帰ってしまうという現状のお客さんとは違って、対バンの最初から最後まで観て、楽しんで、いいバンドや気に入ったアーティストがいると、お目当て以外のCDもちゃんと買ってくれたりしてるんですよね。
なんか新しいというか、少し前まで「オタク」と呼ばれる人たちがやっていたことが、今は一般的なことになっているんですね。
僕もパソコンとか疎い人間なので、最初は衝撃でしたけど、逆に今はそれを面白いなと思って、自分から飛び込んでいって、息子や娘でもいいぐらいの子たちと一緒にイベントやってますけど、それはそれで楽しいなと思います。
「ライブハウスも無くなるんじゃないか?」という話もあったりしますけど、ネットの繋がりで出逢った人たちが集まる場所という意味では、これからも必要とされていくのかなと思います。まあ努力はしないと沢山ライブハウスがありますから、その中で生き残っていくのは大変だと思います。
(※川合氏はニコニコ生放送のコミュニティ「てっちゃんの『歌い手バンザイ!!!!!』」を運営している(編))
僕がライブハウスで観たアーティストをきっかけに音楽にハマったように、興味の「きっかけ」となる場所を作って応援していきたい。
インターネットで見てそこで満足しないで、ライブハウスに足を運んでほしいですよね。
そうですね。人間って、やっぱり「会いたい!」ていう心理になるんですよね。それはアイドルもバンドも弾き語りも同じで、生で聴きたい、会いたいっていう所に繋がったら一番理想だと思うんですよね。
僕は、自分のブログ(チョイチャック川合鉄平ブログ『女性シンガーソングライター万歳!!!!!』)にライブに出演するアーティストの紹介を必ず書いていて、それをひたすら何年も続けているんです。初見の人が見て興味のきっかけになったら良いなと思って。自分自身が最初は音楽に興味のなかった人間で、ライブハウスでアーティストに出会うことがきっかけで音楽にハマった経験があるので、gee-ge.も含めてアーティストや音楽に出会える「きっかけ」となる場所を作っていきたいと思っているんです。
個人的な活動ではありますが、去年、僕がセレクトした女性シンガーソングライターによるコンピレーションアルバムを出させてもらったり、一昨年からラジオ番組(テッパン!SinGirl - ラジオ日本)をもたせてもらったりと、発信するツールも増えてきているので、もっともっと応援していきますよ。
まあ、お笑い芸人やっているので僕が売れりゃ一番早いんですけど(笑)
本日は、ありがとうございました。川合さんのお笑いライブ、ぜひ見せて頂きたいと思います(笑)では、最後に宣伝などありましたらどうぞ。
はい、自分が主催しているイベント「手鉄ロックフェスティバル!!!」を月一くらいでやっています。あと、gee-ge.は料理が美味しいのが自慢で専属の料理人がいて「ライブハウスのメニュー」という概念を超えたレベルの料理を出しています。オムライスとえびアボカド丼、からあげが特にオススメです。ぜひチェックしてみてください!今日は楽しかったです。ありがとうございました。
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