LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.17

LOUNGE NEOは2020年5月をもって閉店し「clubasia」に運営統合されました

SHIBUYA LOUNGE NEO

渋谷 LOUNGE NEOについて
湾曲した巨大な壁一面に2台のプロジェクターで迫力ある映像が映し出すビジュアルシステムと、生演奏までサポートするサウンドシステムが特徴。パーティー・イベントの出演、持ち込み随時受付中。毎月最終水曜日には「WEEKDAY SESSION」というフリーエントランスのパーティも開催中。自作の音源が現場ではどんな鳴りをするのか試せる良い機会だ!
渋谷 LOUNGE NEO へのお問い合わせ
LOUNGE NEO
[閉店] 渋谷区道玄坂2-21-7 第八矢澤ビル5F・6F
TEL:03-5458-2551
出演に関するお問い合わせ
渋谷ラウンジネオ

クラブ・ラウンジの中の人に話を聞いてみた〜LOUNGE NEO編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

LOUNGE NEO club time 店長・マネージャー キドタマミ氏
その親しみやすい人柄から店長として認識されることも少なくないはずだが、実際はHIP-HOP・R&B・DUB STEPに始まり、インプロ系のセッションイベントまでも取り持つ現場の中心人物。イベント等で振舞われるキド氏の手作りカレーはプロフェッショナルな腕前と評判。

本日はライブウォーカー中の人インタビュー企画初のクラブ・ラウンジ取材として渋谷のLOUNGE NEOさんにお話をお伺いしたいと思います。まずはLOUNGE NEOの成り立ちをお聞かせ下さい。渋谷のド真ん中ということもあり多々歴史がありそうですが…。

よろしくお願いします。私は元々clubasia(LOUNGE NEOの系列店舗)で8年間バイトとして働いていたので、実はLOUNGE NEOについてはあまり詳しくないんですよ(笑)。ここの店長になってまだ2年なので…。

それは大変失礼しました(笑)。それではキドタマミさんが店長となってから、今現在に至るまでの経緯をお願いします。

大学を卒業して飲食のバイトばかりしてたんですが、働いてたところが潰れちゃって2〜3ヶ月くらいプー太郎してました。遊ぶにしてもお金が無くなってきたので、これはヤバいということで年末ジャンボを買ったんですが、やっぱり当たらなかったので職を探していたんです。

ヤバくなって年末ジャンボって、むしろ追い込んでいるじゃないですか(笑)!?

その年の末に、私が昔から好きなドギースタイル(犬式 a.k.a. Dogggystyle)のライブをclubasiaで観たんですが、そのclubasiaが翌年の1月に求人を出していまして、そんな所縁で飲食以外のバイトもいいかなってことで働くことになりました。

clubasiaでみたアーティストのライブがきっかけでバイトをはじめて8年、LOUNGE NEO店長に。

LOUNGE NEOに就くまでは、ずっとclubasiaのバイトとしてやっていたのですか?

8年間バイトですね。社員にならないかという話が出た時期はLOUNGE NEOのクラブタイムでは勤務してなかったんです。いざ始めるという時にはclubasiaのマネージャー名義だったんですが、色々整理するにあたってclubasiaの規模を扱うのは無理だなあと思うとこもありまして、LOUNGE NEOの店長という話を頂きました。

ちなみにLOUNGE NEOの立ち上げはclubasiaと同じくらいの時期ですか?

LOUNGE NEO は12年目なんで、clubasiaの5〜6年くらい後になりますね。

LOUNGE NEOで扱う音楽の傾向はR&Bがメインのイメージが強いです。

元々はまさしくお洒落なラウンジって感じだったらしく、酸素Barとかも置いてあったみたいです。思い起こせば、私が入った時はイベントに来る人もいわゆる『ちゃんとした大人』な方たちばかりで、シャンパン開けてパーティーだったり、結婚式の二次会みたいなイベントが多かったんですよ。途中から、同じビルのVUENOS(ヴエノス)でやっているヒップホップ系のイベントの営業が増えてきて、当時の店長カラーでR&Bも含めて営業していた感じですね。

VUENOS経由でR&B系のイベントが流れてきたわけですね。ちなみに本日のイベント『ABRACADABRA』はかなりハードなサウンドが繰り出されるイベントですよね? そういったイベントも増えてきているのですか?

「ABRACADABRA」(※編注:DOOOMBOYS主催。ダブステップからパワフルなインプロビゼーション系セッションなど)はかなりハード寄りなイベントですね。機材も相当数入れてますし、今まではこんなにハードなイベントは少なかったですよ(笑)。まあ、昼間にはたまにバンドものもやってましたし、私も生音が好きなので、(ハードなイベントを)やれなくはないってことで、「楽器を入れても良いですか!?」→「ドラムを入れても良いですか!?」→「ドラム2台組んでも良いですか!?」という風な流れになっていきまして、そしてまたそんな状況にテクニカルチームが対応してくれるようになったんですね(笑)。

音の抜けと程よいコモリ具合で非常に気持ちいいサウンド。

ここは天井の高さもあるせいか出音も非常に太いハコなので、実はハードなサウンドのライブにも適しているのではないでしょうか?

幸い音漏れもしないですし、それでいて音の抜けと程よいコモリ具合があるので非常に気持ちいいと思いますよ。

イベントの種類が多様化してくると、客層も変化してくるのでは?

そうですね。さっき言ったように、それまでは普通に生きてきた30才オーバーの『ちゃんとした大人』の方達が多かったと思いますが、途中からは、VUENOS絡みで若い子達が来てイベントを組んでくれるようになって、ヒップホップ的なお客さんが増え、そして最近は私のまわりのバンドの人たちや、トレッキー・トラックス(TREKKIE TRAX)のようなネットレーベルの若いDJチームも出てくるようになってたので、そこら辺のお客さんも増えてきてくれたと思います。

新旧入り混じってきたと!?

そうかもしれないですね。clubasiaのラウンジで早い時間に出てたような子達が、キャパ的に丁度いいのもあってか、こっち(LOUNGE NEO)のイベントにもでてもらえるようになってきました。

BARがフロアにあってキャパも箱のサイズ的にも、みんな知り合い&仲良くなれる。

若い世代はクラブ離れも多いと聞いていたので、クラブシーンにとっては良い傾向ですね。さて話は変わりますが、LOUNGE NEOで店長として仕事をするようになって『やっててよかった』と思う時はどんな時でしょうか?

BARがフロアにあるし、キャパもそこそこだし(260人)、出演者も大箱のように多いわけではないので、大体みんな知り合い&仲良くなれるってのが良いとこだと思います。イベントに出ている人や、お客さん達が、別の日にフラッ〜と遊びに来てくれたりする。そういう部分はclubasiaとかよりとっつき易いので演者もお客様も近いですし。そういうキッカケでイベントやってくれる人もいますし。

確かに毎回新規のお客さんばかりだと、スタッフさんの立場としては緊張感の連続な感じもしますね。密な人間関係を築けるメリットがあると。では、逆に店長ならではの『これはハードだなあ』という部分はどこら辺でしょうか?

法律との戦いですかねぇ…(苦笑)。

ああ、どの業界でもそのあたりの縛りってありますよね(笑)。色んな法案が出ますし、偶然としても化石のような法案が残っていたために、お上も現場も混乱してしまうような…。

アッチとったらコッチがダメで、コッチとったらアッチがダメっていう厳しい状況もありますよね。

現場を悩ますとんちんかんな法案もあると思いますが、こういうことをきっかけに現場の大切さを見つめ直すのも、今の音楽シーンにとってはいい刺激なのかなと思います。では次の質問です。この流れでお聞きしますが、タマミさんから見て現在の音楽シーンはどのような動きをしていると思いますか?

お客さんに関しては、昔ほどクラブ音楽が好きっていう印象は無いですね。音楽そのもっていうより『楽しめる場所が好き』って人のほうが多いと思います。

エンターテインメント性重視ってこと?

そうですね。ハロウィンみたいなイベントの時は凄い混みますし、clubasiaの『泡パ(ひたすら泡をまきまくるパーティー)』の時などは、普段遊びに来る人たちの他に、その一つ外側の人たちも遊びにきてくれたりしますね。

外側?

クラブミュージック好きですって人達の外側…、さらにもう一つ外側の人たちもかな!?

クラブミュージック好きの友達の友達…、って感じですね!? イベント内容も音楽だけに留まらなほうが人が集まりやすくなってきたんですね。

あとは、一時期イベントオーガナイザーさんだったり、イベントに出演するDJさんが凄く減った時期があったんですけど、今はインターネットのおかげで機材が揃ってなくても、PCで音楽作れるたりDJ出来るようになり、その環境で音楽を始めた人たちが二十歳以上になってクラブに来るようになって、私とかがクラブを知った時とは全然違う感覚の子達がイベントを始めてくれている節がありますね。

どういう感覚なのでしょうか?

ちゃんと考えてると思います。良くも悪くも要領が良いのかな。先輩たちのプレイもみてるし、機材の面でも最も端的な道を見つけるのが上手いかなと思います。その上で、その端的な道での技術もすごく上手いんですよ。

そういえば以前に取材したところでも、これは演奏者の話ですが、やっぱりインターネットの発達で情報をいち早く集められるから、非常に短期間で技術も上がってるって話が出てきました。

最近のDJ・プレイヤーは技術的にも感覚的にも要領よくて、すごく上手。さらに枠を飛び越えてくれるような可能性も。

感覚的にも上手いなあと思います。プレイがどうとかでもなく、聞こえが悪いかもしれませんが、上手い事やってるなあって感じなのかな。だからこそ枠を飛び越えてくれるような可能性も感じますよね。

そこは良さにもなりますよね。オーガナイズされた上手さというか、総合的に捉えてるというか。また新しい感覚なんでしょうね。さて、次で最後の質問になりますが、今までの話を踏まえた上で、LOUNGE NEOの魅力ってどういうところだと思いますか?

さっきの『やっててよかった』の話と少しかぶりますが、(人間関係が)近しい感覚で、初期投資をかけなくてもプロ仕様の環境&便利な立地でイベントが出来るハコだと思うので、とっかかりにしやすいと思います。あと、やってみればわかると思いますが、スタッフもおかしな人が多いので、たぶん仲良くやっていけるハコだと思います(笑)。

おかしなスタッフ(笑)。門戸が広く親しみやすいってとこですよね!? 加えて言うなら、僕個人としては、このキャパでこの出音の逞しさは推しどころだと思います。

音響システムが変わってからは、皆さんそう言ってくれます。機材まわりをムチャぶりしてもまとめてくれるテクニカルチームのおかげでもありますね。あ、あと平日は1,000円のイベントなどもやっているので、フラッと遊びに来るには丁度いいんじゃないかと思います。7~9月は結構忙しいんで、皆さん遊びに来てください!

今まさに旬ということですね(笑)。それでは本日はイベント直前のお忙しい時間にありがとうございました。

いえいえ、こちらこそありがとうございました!

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2014年7月)

インタビュー特集一覧(バックナンバー)

バンドメンバー募集のメンボネット ミュージックジョブネット
サウンドペディア
club asia(クラブエイジア)
1996年にオープンした日本・東京を代表する渋谷円山町のキャパ600人の大型クラブの一つ。天井高6mのメインフロアとアジアンテイスト溢れる店内デザインが特徴。ダンスミュージックの最前線現場として多くのパーティ・イベントを開催。今日における日本のDJクラブシーンの礎と成るダンスミュージック文化構築に大きな貢献を果たしており、いまも最もシーンの中心地としてトップクラスのDJ・アーティストのイベントで賑わう。
club asia
犬式 a.k.a. Dogggystyle
2000年に三宅洋平(ボーカル/ギタリスト・政治活動家・日本アーティスト有意識者会議代表)を中心に結成された、日本のオルタナティブバンド。レゲエ・スカ等を取り入れたミクスチャーサウンドが特徴。ミニアルバムを含む7枚のオリジナルアルバムと1枚のベスト版をリリース。2009年より無期限活動休止中。
クラブタイム
クラブやライブホールの運営形態において、前半(昼〜)ライブ(DAY)タイムと後半(夜〜)クラブ(NIGHT)タイムにて、イベントやステージ演出を切り替えて行う場合がある。たとえば、前半は生バンドによる演奏やDJプレイイベントを行い、後半はBGMを流すラウンジとしてお酒やフードを楽しむバーとして運営する場合などがある。
VUENOS
渋谷VUENOS
カルチャー・オブ・エイジアが運営するclub asia向かいの地下フロアB1・1Fにあるライブホール。B1ホールはライブステージとメインフロアー・BARコーナーからなり、4コーナーの巨大スピーカーでヒップホップやR&B・レゲエなどの迫力あるライブやサウンドが楽しめる。ライブホールのキャパはスタンディングで200名。上階1Fのラウンジは吹き抜け階段となりB1メインホールと合わせて300人キャパのイベントに対応。二次会や結婚式などの貸し切りパーティープランにも活用できる。
TREKKIE TRAX
DJ・トラックメイカーのandrew、Seimei & Taimei等を中心としたDJ・VJ・トラックメーカーによる日本東京で活動するクリエイター集団。2012年5月より活動開始。テクノ・ハウス・ドラムンベース・ジューク/フットワークといったダンスフロア向け作品のリリースや都内クラブやライブホールでの活動を行う。多くの作品がsoundcloud等で視聴可能。

公式サイト http://www.trekkie-trax.com/
泡パ(泡パーティー)
渋谷VUENOS
ダンスミュージックを中心としたイベントやライブホールの客席あるいはステージに一定時間(通常1時間ほど)泡を放出し、泡だらけになりながら楽しむというイベント。大量の泡(水滴)を浴びるために観客は濡れても良い格好あるいは水着などで参加する。また、野外や海辺のイベント会場などで行われる場合もある。渋谷clubasiaでは定期的にこの「泡パ」が行われており多くの泡パファンが集う。