LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.2

渋谷CHELSEA HOTEL / STAR LOUNGE

渋谷チェルシーホテル
CHELSEA HOTELについて
今年(2013年)10周年を迎えた渋谷宇田川町(渋谷東急ハンズの向かい)にあるセンスが光るライブハウス。同ビルの1階には同系列のスターラウンジも併設。それぞれ、内装やキャパ、音が違うのでバンドのイメージに合わせて使い分けできる。ジャンルは「来る者拒まず!」が基本。様々なジャンルの音楽・バンドが出演。
CHELSEA HOTELの無料ライブDAY
毎週水曜日は無料ライブを開催。入場料は無料(ドリンク代のみ)でアーティスト側の負担はゼロ!どんどんアピールしよう。出演にはブッキングマネージャーにより演奏のクオリティや集客の審査あるが、自分自身で集客する姿勢があり、積極的に活動しているバンドはどんどんサポートしてくれるそうだ。
CHELSEA HOTELに出演しよう!
出演バンドは常時募集中。電話でもメールでも直接来てもOK。初めてのライブで「1から頑張りたいという」バンドも沢山出演しているので、門を叩けば誰でも出演可能。アーティストにはブッキングマネージャーが音源を聞いてライブをサポートしてくれる。(チケットノルマのない水曜日無料ライブDAYは出演審査あり)
CHELSEA HOTEL へのお問い合わせ
CHELSEA HOTEL公式サイト
渋谷区宇田川町4-7 トウセン宇田川ビルB1F
TEL:03-3770-1567
渋谷チェルシーホテル

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜CHELSEA HOTEL編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

チェルシーホテル 川崎秀一 氏

チェルシーホテル/スターラウンジ総支配人 川崎秀一 氏
渋谷チェルシーホテルと、同ビル1Fにある渋谷スターラウンジの総支配人・ブッキングマネージャー。自身のバンド「逆EDGE」でボーカルベースを担当。@twitter / BLOG

本日はよろしくお願いします。川崎さんがブッキングを担当するようになったきっかけから教えてください。

よろしくお願いします。もともとはバンドをやっていて、アーティストとしてLD&K(チェルシーホテルを運営している会社)のレーベルからCDをリリースしていました。そんななか、チェルシーホテルが立ち上がって間もない頃(2003年〜)LD&Kの社長から「イベントやるならココ(チェルシー)使ってよ」と言われて、チェルシーで何本もライブイベントを打っていると、今度は「ブッキングやんないか?」っていう流れになって、現在に至るという感じです。それでもう10年目ですね!

チェルシーホテルのバーカウンター

チェルシーホテル、そして1Fのスターラウンジと、ネーミングもとても個性的ですよね?

ニューヨークにある芸術家や音楽家が集うことで有名なホテル「The Hotel Chelsea」にちなんで命名されています。1Fの「スターラウンジ」は、実は僕が名前を決めました。Google Mapで、チェルシーホテル周辺のマップを散策していたら「STAR LOUNGE」という店が目について「この名前はカッコイイな!」と。この経緯はあまり言ってこなかったんですけどね(笑)どちらにも実際にはまだ行ったことはありません。が、こう書いておいてもらっていいですか?「僕がマンハッタンのCHELSEA HOTELに行ったときに下にSTAR LOUNGEっていうBARがあって…」(笑)

とても素敵です!チェルシーとスターラウンジの区分けというのはどういう感じなのですか?

スターラウンジは立ちあげ当初から店長を任されていたので、より幅広い音楽やイベント形態に対応できるようにとチェルシーで課題となっていた楽屋やステージ裏側の導線なんかも工夫して整備しました。その結果、ヴィジュアル系アイドル系などのライブやイベントでスターラウンジを利用してくれるアーティストが多くなりました。

チェルシー・スターラウンジどちらも、それぞれに、内装・設備にはこだわっていますし、キャパ(チェルシー約300名・スターラウンジ250名)や音質も違いますから、バンドやアーティストさんの好みでチョイスしてもらいたいと思います。

なるほど、それで色々なタイプのイベントに対応できるということなんですね?

はい、そうですね。新しいジャンルの音楽やイベントに接することであらたな発見があり、勉強になることも多いです。例えば、ビジュアル系だったら整理番号による入場順にシビアだとか、アイドル系だったら物販の時間が重要とか、ロック系のライブではあまり重要視されないようなところに優先度が高かったりして、知らずにクレームを受けたこともありました。

クオリティーの高いバンドのブッキングに真剣です。

最近チェルシーホテルで最近盛り上がりのあるジャンルや、バンドの傾向などについて教えて下さい。

特定のジャンルが盛り上がるという大きな波(ブーム)のようなものは、ここしばらくは無いように思います。ブッキング的にも「これをやれば(お客様が)絶対入る」という手堅いジャンルというのは見当たりありませんが、 全体的に見て最近のバンドのクオリティーは高くなってきています。とくに若い子ほど演奏も上手いし、曲も良い。

チェルシーホテルのエントランスs

チェルシーホテルの毎週水曜日の無料ライブデーではチケットノルマがないので、ライブハウスサイドも面白いバンドをブッキングして集客ができるステージを作る努力をしなければなりません。クオリティーの高いバンドの開拓にはこちらも真剣です。ネットの動画等で光るものがあるバンドを見つけた場合は、こちらから出演のオファーをすることもあります。

若いいいバンドが出てきているというのはとても楽しみですね。彼らがブレイクを目指すにはどうすればよいのでしょうか?

動画共有サイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を駆使しでバンドの情報、音源、ライブ映像などをどんどん公開して自分たちの存在をアピールしていくのは大事だと思います。

現在はメジャーで活躍する某バンドの話ですが、まだ知名度のなかった時代MySpaceに音源をアップロードしていただけにもかかわらず音楽業界の人たちが大挙してライブに駆けつけたというエピソードがあります。昔のようにレコード会社にデモを送ったりオーディションを受けたりしなくても、実力さえあればネット上からどんどん可能性が広がります。

実際に、「いいバンド」と噂の、売れる兆しのあるようなバンドのライブに行ってみると「もうこんなに大人の人がいるんだ!?」っていうくらい、いろんな業界関係者の人たちが多数ライブに来ているんですよ。ネットやSNS、とくにツイッターの普及で音源やライブ映像の口コミによる伝達の範囲が広く、スピードが早くなっていると感じています。

ネットを積極的に利用していくっていうことですね。

はい。ぜひ有効活用してもらいたいと思います。とはいっても、ネットのツールはあくまで手段に過ぎません。ネット上でのパフォーマンやPRが上手で動画サイトやSNS上では人気があっても、肝心の楽曲や演奏やステージのクオリティーが低いのでは長続きしませんから、最終的には、やはり面白いもの、良い物を作るってことですよね。作っているものが大事。作っているものが良くてクオリティーの高い演奏があれば、ネットの普及でその人たち(業界人)の目に止まる可能性が高くなっているんだと思います。

チェルシーホテルでもニコニコ動画のチャンネルを運営していますよね?

はい「チェルシーホテルチャンネル」という番組運営していて生放送をするときもあります。ニコニコ動画等にアップするとダイレクトにコメントが帰ってくるので、良い反応が返ってくると励みになります。ただし、同時に辛辣なコメントが来ることもあるので、打たれ強さも必要かもしれません(笑)

ライバル店同士でも情報を共有して、ライブハウス業界全体を良くしていきたい。

定期的に行われている「ライブハウス親睦会」幹事を川崎さんが務められるそうですね?

はい、そうです。ライブハウス親睦会というのは関東近郊のライブハウス関係者が集まるライブハウス業界の飲み会なのですが、今年はチェルシーホテル10周年ということもあったので、自分が幹事を引き受けました。今までは、こういう会には積極的に参加してこなかったのですが、ライバル店同士でも情報を共有し合って業界全体を良くするという努力をして行ったほうがみんなが幸せになれるんじゃないかと思い、最近は自分が実践して得たノウハウを他の店の人に話したりもしています。

これを見ているライブハウス関係の方で、「ライブハウス親睦会」に参加したことがないという方は、決して堅苦しい会ではないので気軽に参加してほしいです。やっぱり同じ業界の人間同士だと、ライブハウスあるある的な共通の話題ですぐに盛り上がれますしね。

これからのチェルシーホテル・スターラウンジに期待しています。本日はありがとうございました。

頑張ります。盛り上げたいと思います。こちらこそありがとうございました。

インタビュー Limo Hatano / MUSIC-MDATA編集部(取材日 2013年8月 )

インタビュー特集一覧(バックナンバー)

バンドメンバー募集のメンボネット ミュージックジョブネット
サウンドペディア
LD&K
LD and K
チェルシーホテルを運営する親会社。東京・大阪・沖縄でのライブハウスの他、カフェレストラン、音楽スタジオを運営。音楽レーベルにはガガガSP、かりゆし58などの人気バンドが所属している。→ ldandk.com
The Hotel Chelsea
chelsea
1883年に、ニューヨーク・マンハッタンのチェルシー地区に建設されたホテル。著名な芸術家や音楽家、作家が好んで滞在することで有名。7番と8番大通りの間、西23番街の222番に所在する。(Wikipediaより
Google Map
Googleが2005年から提供しているインターネットによる地図、ローカル(地域)検索サービス。通常の地図・航空写真の他、ストリートビュー機能で世界中の主要な町並みを散策することができる。
楽屋
ライブやコンサートでのイベント時に出演者が待機するスペース。歴史あるライブハウスでは壁にバンドがサインや落書きをしている場合が多くライブハウスの個性を表す。出演に備えて衣装をメイクの準備にも利用される。
ヴィジュアル系
ロック系のジャンルの一つ。過激な衣装やメイクで装飾しハードロックおよびヘヴィメタルのサウンドにマイナー調でメロディアスな旋律のボーカルを奏でるのが特徴。ブームの盛衰を繰り返し独自のシーンを形成している。
アイドル系
ライブハウスでのライブ活動を中心とするアイドル、またはグループで地下アイドル、インディーズアイドルとも呼ばれる。国民的人気アイドルAKB48も当初はライブハウスでの活動が中心であり、以降多数のグループが活動している。
キャパ
ライブハウスやホールでの最大収容人数を示し、施設の規模の目安として使われる。「キャパシティ(capacity)」の略。座席のないオールスタンディングでの最大人数または、座席数+立ち見による最大数にて表される。
整理番号
オールスタンディングのライブで座席の指定がない場合にチケット等に記載された入場順番を決める番号。大きい会場だとブロック別けされている場合もある。係員の指示に従い入り口付近に番号の順番に並んで会場へ入場する。
チケットノルマ
ライブハウスに出演するバンド側が最低限のチケット売り上げを約束すること、またはその枚数を示す。通常はチケット売り上げの枚数がノルマに達しない場合はバンド側が買い取る(不足分を負担する)ためバンド活動の負担となる場合がある。
大人の人
プロデューサーやディレクターなど一定の権限を持っている業界の人を指す場合に使われる業界用語の一つ。アイドルやバンドなどのアーティスト側に対して事務所やレコード会社等の裏方サイドの人たちを指す場合が多い。
MySpace(マイスペース)
My Space
音楽・エンターテインメントを中心としたソーシャル・ネットワーキング・サービス。音声や動画ファイルの公開が可能で、プロ・アマ問わず多くのアーティストに作品発表の場としても活用されている。→ myspace.com
チェルシーホテルチャンネル(ニコニコ動画)
チェルシーホテルニコ動
渋谷ライブハウスチェルシーホテルがニコニコ動画で公開しているインターネット番組。定期的にゲスト・アーティストを招いての番組「チェルシーライオットTV」などの番組を放送。チェルシーホテルに出演するバンドのPV動画もアップしている。→ nicovideo.jp/shibuya-chelsea