ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.42
高円寺 CLUB LINER
- 高円寺CLUB LINERについて
- 2005年オープン。バンドマンの立場にたったライブハウスを実現するべく、現役バンドマンにより立ち上げられた、ミュージシャンと「三度の飯より音楽が好き」な人々に贈る等身大ライブハウス。夢と理想を追い求め、「夢だけじゃだめなんだ」と現実と葛藤しながら、バンドサウンドが魅せるチームプレイの素晴らしさ、ありふれた日常を煌めかす音楽のチカラを信じ、発信する。着地と離陸の狭間で、ライトめがけて放つ音速ライナー。お楽しみはこれからだ!
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- 高円寺CLUB LINER
[閉店] 杉並区梅里2-9-11 小池ビルB1
TEL:03-3318-6130
出演バンド・ブッキング受付中
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 高円寺CLUB LINER編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
高円寺CLUB LINER リーダー 千葉剛久氏
本日は新高円寺のCLUB LINER千葉剛久さんにお話をお伺いします。以前、ここはRIZTというライブハウスでしたが、CLUB LINERとしてオープンした経緯から教えて下さい。
CLUB LINERは今年で11周年(2005年開店)になりますが、おっしゃるとおり、その前はRITZという名前のライブハウスで、RITZでも店長をやっていました。
RITZ時代からスタッフだったのですね。RITZにはどのくらいいたのですか?
学生の頃からバイトで入って10年くらいです。そのうち、だんだん当時やっていた自分のバンドがイイ感じになってきて、ツアーも増えて忙しくなると、お店(RITZ)の方を休みがちになってきてしまって。
バンドとしては嬉しい展開ですけど…。
RITZでは早々に店長にしてもらって運営していたので、そうなると、お店も回らないし、売り上げも落ちてきて、RITZの社長もいい顔しなくなっちゃって…(苦笑)。バンドとお店、どっちを取るかを悩んだ結果「バンドでここを買い取っちゃえばいいんじゃないか!」と思いついたんです。
バンド活動のためにライブハウス買い取る…、思い切ったすごいアイデアです。
買い取ると言っても現実は厳しかった。改装もしようと思っていたので、お金の工面が大変で、バンドメンバー全員でブッキングなどをやり始めたんですが…。正直言うと、自分たちで会社を立ち上げる、という所までは出来なくて、最終的なケツはRITZの社長に持ってもらったんです(笑)。
なるほど、そういうことだったのですね。
表面上は「買い取った」と言ったほうが聞こえもいいので、そういう感じでCLUB LINERを転がし始めました。もちろん、自分の理想とするライブハウスを追求したいという思いもありました。バンドで全国のライブハウスを回っていたので、各現場で色んな刺激を貰って、尊敬できるライブハウスもたくさんあって「こんなお店を作りたい!」という気持ちが積もり積もっていたので。
バンドマンの立場に立ったライブハウスでありたい
千葉さんの理想のライブハウス、詳しく教えて下さい。
バンドマンの立場に立ったライブハウスでありたいということです。たとえば「お客さんを呼べなかったらお金で清算してください」というチケットノルマの問題。建前上は「この人数のお客さんは呼んでください」ってことなんですけど、正直、どのお店も、ノルマクリアできないのはわかっていた上で、アマチュア相手に吹っかけていた部分があったと思う。僕はそういう部分が好きじゃなかったんです。
千葉さん自身がバンドマンだからこそですね。
仕事だから「第一に金」、というのもわかるんですけど、僕としては、それは嫌だなと思って…。でも、いざ、自分でやってみたら、「そこ(お金)が1番大事なんだ!」と思うようにもなりました(笑)。
なんだかんだ、お金は全ての要であることは否めません(苦笑)。
そうなんです。夢だけじゃ駄目なんだと痛感しました。自分でお店をやってみて、(RITZの)経営者たちは、こういうシビアな部分を(スタッフなどの現場には)見せずにやっていたんだろうなと、今ならわかります。
やはり、音楽業界衰退の10年、ライブハウス経営というのは難しいものですか?
CLUB LINERをオープンした頃はインディーズバブルのタイミングで、バンドとしてもライブハウスとしても良い年だったんですよ。売り上げもよかったし、世間には、うちの一人勝ちのような感じで映ってたと思うんですが、数年のうちに、どんどんバンドが減り、お客さんが減り、音楽業界自体が尻つぼみになっていって…。そして、立ち上げのバンドメンバーは全員(お店を)辞めてしまって、スタッフは自分だけが残りました(苦笑)。
理想と現実の間で、チケットノルマはどのような設定になったのですか?
バンドによってノルマをかける時もあれば、かけない時もあります。でも、自分もバンドマンなので、なかなか商売人には徹せないですね。極力ノルマはかけないようにはしていますが、その代わり一生懸命やっていないバンドに対しては、言うべきことを言いますよ(笑)
すべてを犠牲にして練習している奴らが勝つ
(ノルマがクリアできる)動員があるバンドはどんなバンドですか?
それは極々シンプルで「上手い!」。これに尽きます。結局、そういう人たちは迷わずバンド活動に投資している。多くの時間を割いて、他のものは犠牲にして練習している奴らが勝ちますよね。
上手いバンド、数的には少ないのでしょうか?
少ないですね。特に若いバンドがなかなかいないですね。個々の技術があってもバンドとしての技術が足りない。それと、お客さんを呼ぶために何をしなきゃいけないかも考えて欲しい。みんなSNSに頼り過ぎですよ! ツイッターで告知すればいいって思ってるバンドが多い。上手いバンドはSNS活動に時間を費やしたりはしてないと思うんですよ。そういうことは、(メンバー以外の)スタッフがやっているとかね。
では続いて、バンドマンでもある千葉さんと音楽の出会いについて教えてください。
初めてバンドを組んだのが高校の頃です。学園祭に出たり、楽しかったですね。ニルバーナのネバーマインドとか、レッチリのブラッドシュガーセックスマジックとか、凄まじいバンドの凄まじいアルバムが続々と出たあたりで、いやあ、良い年でしたねえ…(笑)。
1991年ですね。
そうですね。今から見てもロック史上のビッグタイトル揃いで、多感な時期だったので衝撃でした。毎日ワクワクしていて、「これだ(バンド)!」って思っちゃったんですよね。浪人中もスタジオ入って、みんなしてSmells Like Teen Spiritのイントロを弾いてる、みたいな(笑)。
当時から担当楽器はギターですか?
はい、ギターです。大学進学後、サークルでバンドを組んでオリジナル曲をデモテープオーディションに送ったら、運良く…、というか、今思えば、運悪くというか、審査に受かっちゃって、とあるメジャーレーベルに所属する事になって…、まあ、天狗になるわけですよ(笑)。それで大学を辞め、ちょうどその頃…、95年ぐらいから、バンド活動をしつつ、ここ(当時のRITZ)で働くようなりました。
なんというバンド名だったのですか?
テルスターというバンドです。そのレーベルでは新人発掘セクションで2年ぐらいくすぶっていたので、一旦そこを辞めて、再度デモテープを作って送ったところBad News Recordsというレーベルから1stアルバムをリリースすることができました。これまでにテルスターでは5枚アルバムを出しています。
バンド活動を始めてから順調に進んできましたね。
そうですね、そこまでは意外と順風満帆だったと思います。ツアーやフェスなど、色々経験させてもらいました。でも、CLUB LINERを始めてから転落しました(笑)。まあ、それは時期的な問題ゆえですけどね。
シビアな話、バンド活動だけで…、というのは難しいものですか?
難しかったですね。持ち出しはなかったですけど、給料なしで、印税とライブのギャラだけだったので、それだけで生活出来る程はなかったです。
デビュー後も厳しいものですよね。現在のバンド活動の近況はどのような感じですか?
この間、テルスターで久しぶりにライブをしました。メンバーも仕事を持っていて、子供もいるので2年振りとなりましたが、お客さんも来てくれるので、ライブハウス的(CLUB LINER)にも潤います(笑)。
弾き語りもいいけど、バンドで勝負してほしい。
それでは最後に、CLUB LINERからのメッセージをお願いします。
最近、弾き語りのアーティストが多いと思うのですが、正直、僕的には、あんまり嬉しくないんです(苦笑)。なんでバンドやらないのかな?って。CLUB LINERのスケジュールも弾き語りの日が、週に2、3日ある週もあるんですが、それでも、あえて「もっとバンドやろうよ!」と言いたい。一人でやる方がいろいろ楽なんでしょうけど、バンドで勝負してほしい。ひょっとして対人関係の構築が出来ないんですかね? ボカロのせい(笑)?
バンドにはコミュニケーション能力が必要とされるので、ソロやボカロの方が楽な部分はありますね。
もちろん弾き語りの人も応援しますけど、それでも、出来ればバンドでやってほしい。音楽業界がしみったれてるせいもあるかもしれませんが、でも、みんながバンドをやり始めたら変わると思うんですよ。面倒くさがらず、バンドをやって欲しいと思います。せっかく高円寺という音楽の街なんだから、バンドでかかってきてください!
チームプレイの素晴らしさを是非ともCLUB LINERから発信していただきたいです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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