ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.31
吉祥寺 ROCK JOINT GB
- ROCK JOINT GB について
- 通称「RJGB」。ライブハウス、音楽スタジオなどを運営するMANDALA GROUPが2008年にオープン。高さ80cm・幅6mのステージとスタンディング300収容が可能な空間と音響・照明設備で、ロック・アコースティックの音楽ライブのみならず、ダンス、芝居、お笑いなど、幅広い分野で活用できる。人気アーティストのワンマンライブから、「ライブやろうぜ!」「JYOJI-ROCK U22 GRAND PRIX」などバンドビギナーや学生のための熱気あふれるイベントを定期開催中。 シーティングは120席設置可能で各種パーティーでも利用可能。吉祥寺駅北口から徒歩5分。
- ROCK JOINT GB へのお問い合わせ
- ROCKJ ONIT GB公式サイト
武蔵野市吉祥寺本町2-13-14 B1
TEL:0422-23-3091
※ブッキング・ホールレンタル受付中【詳細】
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 ROCK JOINT GB編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
ROCK JONIT GB店長 / 曼荼羅株式会社取締役 藤崎博治 氏
本日は、吉祥寺ROCK JOINT GB店長、藤崎博治さんにお話をお伺いします。ライブハウス激戦区の中では比較的新しいライブハウスながら、すでに知名度の高いハコです。
ありがとうございます。MANDALA GROUPは45年程ライブハウスをやっているんですけど、ここは2008年にオープンした一番新しいライブハウスになります。
曼荼羅といえばサイケデリックなイメージの東京を代表する老舗で有名ですが、藤崎さんはいつからMANDALA GROUPに在籍しているのでしょう?
僕は、19才のころから曼荼羅で働いていたので、32年間この仕事をしています。
それは長いです! ROCK JOINT GBはどのようなアーティストが出演しているのですか?
幅広くやっています。激しいバンドや、いまどきの激ロック系もやります。遠藤賢司さん、人間椅子の和嶋慎治さん、THE SLUT BANKSさんなどに出てもらったり、そうかと思えば、高校生、大学生の大会をやったりと。
音的にはハードなロック寄り、という感じですか?
もちろん、THE SLUT BANKSなんて、ダイブもあるしモッシュもある。でも、ROCK JOINT GBでは『表現』というもの全てに着手するようにしています。ミュージカル、芝居やったり、舞踏、ストリートダンス、クラシックダンス、モダンバレエやったり、表現形態は問わずやっています。
ミュージカルや舞踏、そしてバレエまで!
表現するものは幅広くあった方がおもしろいじゃないですか。ロックやハードなのも好きですけど視点が一方通行になっちゃう。僕らとしても、毎日それだけだと疲れちゃうし(笑)。だからそこに、ジャンルの違うお芝居とかミュージカルが入ると、違う角度から表現という物を見ることができるし、参加もできる、そういうのが好きですね。
MANDALA GROUPの中にあって近代的なライブハウスという印象があります。
近代的、という意味で言うと「2016年のライブハウス」を目指しているのかもしれないですね。2017年になれば、2017年のライブハウス。そのためには、自分も絶えず新しく情報仕入れて、勉強もしないと。今、16~17才だと、僕らがライブハウスを始めてから生まれた子達だから、当然バンドブームも知らない世代ですからね。
常に時代に沿って様式を変えていくのですね。
そうでないと形骸化してしまいます。それこそ、固定観念、既成概念とかそういったものに、僕は魅力を全く感じないんです。いわゆる皆さんが想像する『ライブハウス』というのが好きじゃないので…って、好きじゃないとか言うと、怒られちゃうけど(笑)。
時代に取り残されると過疎化してしまいますからね。
そうそう。なのに、お客さんいなくても爆音でやってるでしょ? そういう寂しい状況になるのは勘弁して欲しいですよね(笑)。
藤崎さんからみた、若い世代のバンドというのはどうですか?
出演したいバンドから電話かかってきて「出たいんですけど、いくらですか?」って聞かれる。でも、僕としては「おまえ、値段とか聞く前に、音を聴かせろよ!」って思うんです。(※ROCK JOINT GBのブッキングは原則ノルマを取らない。)
ちょっと切ない電話です。
「うちに来たことある?まずは一回おいでよ。そこから話をしよう!」という流れにするように心がけていますけど、それでもそこで「じゃあいいです」なんて言われちゃって、そのまま縁がない子もいる。
ドライな子達ですね…。
それでも、こういうやり方に付いてきてくれる子達もいます。「うちはノルマなくていいけど、お客さん呼ばないとかっこ悪いぞ!」なんて言うと、100人くらい呼んでくるバンドもいる。うちは、高校生の出演者でも、お客さんを呼べばチャージバックを出しています。中には、200人くらい集客して、10万くらい持って帰っちゃう子達もいますよ(笑)。
お金払ってライブしてたら、いつまで経ってもプロ意識が目覚めない。
高校生でそれだけ入れば嬉しいですし、プロとしての活動にも目覚めそうですね。
偉そうなこと言っちゃうかもしれないけど、そういうことも教育しないとね。バンド側がお金払ってライブするんじゃ、いつまで経ってもプロ意識が目覚めないじゃないですか。 だから「お客さんから前金でお金もらってるんだから、500円でも1,000円でも、それ以上のものを見せないと駄目だよ」って言うようにしています。やったらやった分が返ってくるんだから、やりがいもあるだろうし。
同感です。そういった教育もROCK JOINT GBのよい評判に繋がってるのだと思います。
ありがとうございます。あたりまえの事をしているつもりです。でも、まだバンドマンには何か、物足りなさを感じることがありますね。いまいち、表現へのこだわりが足りない。
何が足りないのでしょう?
ステージの照明の中に入るってことがどれだけのことかわかっていない。ともすれば、ステージのセンターも気にしていないバンドも多い。人に魅せるっていう意識が乏しいからそうなるんですよね。そういうところから伝えて教えていかないといけない。まあ、いろいろなライブハウスがあるというのも影響あるんでしょうけど…。
他のライブハウスの影響?
他所のライブハウスで動く照明とか、LEDで色が変わる照明とか、チカチカさせてるとかあるけれど、正直、曲調と合ってない技術を駆使しまくっちゃうのはどうなのかなと(笑)。とんちんかんな照明をされたんじゃたまんないでしょ?
確かに、ハイテクな照明システムを過渡に導入しているところありますね。
もっと、場所や人にこだわって舞台に上って欲しいですね。うちのスタッフはものづくりが好きなので、「俺たちの曲を分かってくれてストロボたいてくれる!」「ROCK JOINT GBの舞台に上がればここまでやってくれるのか!」ということを実感してもらえるはずです。
ミュージシャンのことは、一緒に舞台を作る仲間だと思っている。
藤崎さんはMANDALA GROUPの取締役でもあります。多くのライブハウスが生まれては消えていく中、40年以上続くようなライブハウス経営のコツのようなものを教えていただけますか?
僕は経営しているって感覚が全くないんです。一応、取締役という堅苦しい役職もいただいているんですけど、経営者としての自覚がない(笑)。
それでも30年以上、ライブハウスの仕事をしています。
素直にみんなの喜ぶことをしているだけです。ミュージシャンのことは、一緒に舞台を作る仲間だと思っているので、ミュージシャン達にも僕たちのことを仲間だと思って欲しい。演劇でもミュージカルでも「一緒ステージを作ろう。来たお客さんにとにかく楽しんでもらおう。」という気持ちでやってきました。
音楽と現場が好きでないと務まらないですね。
一緒にものを作るのが好きなんでしょうね。僕は音楽以外、役者も踊りもやったことはないですが、演者さんの表現を120%引き立たせる照明やタイミングを考えて、一緒にステージを作ることによって疑似体験ができる。喜びを分かち合える。そういった現場が好きですね。
それはアーティストも嬉しいです。ただ、裏方のスタッフに色々言うと嫌がられるじゃないか? って思う人もいるのではないでしょうか。
ミュージシャンの注文を面倒くさがる店はありますね。そもそも僕らみたいな考えは少ないと思います。でも毎日のルーティンの中だけで『作業』していたら、僕ら自身も磨かれないし、機材にしても照明だって色抜けちゃってても平気とか、スピーカーだって埃かぶっちゃいますよ(笑)。
参加したほうがエネルギーも循環するのかもしれないですね。
絶対そうです。そもそも僕らは、学校行くのも嫌で、サラリーマンが嫌で、人に指示されるのが嫌で、普通の仕事が嫌で、基本的に組織に就きたくない、ってことでこういう仕事しているのでね(笑)。一応、組織に属していますけど、属していると言うより、意思を持って参加しているんですよね。みんなそうだと思いますよ(笑)。
よくわかります(笑)。では、藤崎さんの音楽との出会いについて教えて下さい。
何を隠そう、15歳の時にキャロルなんですよね。その当時のある日のこと、暴走族やってるバカな友達が、夜中の2時頃に、うちの二階の部屋まで屋根伝いに侵入してきたんですよ。
どういう状況ですか(笑)?
ベース持って来て「バンドやるぞ!」って(笑)。その前に僕が、バンドやりたい、ドラムやりたい、って言ってたんですけど、そいつに「俺はギター弾きたいから、おまえはベースやってくれ」って言われたんです。でも、キャロルのベースって永ちゃんじゃないですか!? いいのかよ?って感じですよね(笑)。
強引に誘っておきながらカリスマポジションを指名してくれてますね(笑)
その後、カセットテープでキャロルの「涙のテディ・ボーイ」をかけて、譜面も読み書き出来ないのに、バカみたいに譜面起こしてね。
高知のスタジオ店員が、音叉見せながら「おまえら、チューニングって知ってるか!?」
読み書き出来ない譜面って、どういう譜面なのでしょう?
小学校の音楽の教科書を見て作った(笑)。それで、高知の町に一軒しかない薄い壁のクラシックのスタジオに入って、いざ、カウント『1、2、3、4!』で演奏し始めたら、4小節くらい演奏したら、店の店員がスタジオに「演奏やめろ、営業妨害になる!」と怒鳴って入ってきた。
音量の問題?
音叉見せながら、「おまえら、チューニングって知ってるか!?」ってことでした(笑)。
いい人じゃないですか(笑)。チューニングを教えてくれたんですね。
初スタジオだったから、格好ばっかりでチューニングを知らなかったんです。馬鹿でしょ(笑)?でも、それなんですよね。その時の経験があったから、スタジオというのは、お節介でも、そういうことをしてくれる所なんだって刻み込まれている。
積極的に関わりをもつべきだとということですね。
そういう経験が原点になり、若い子達にアドバイスできるかなって思って曼荼羅グループでスタジオ作ったんですよ。それがStudio Leda/vegaです。
Studio Leda/vegaさんも取材させてもらいました。とても素敵なスタジオで、思いっきり人と関わりますよね。(※Sound's cross wizard 音の達人インタビュー Studio Leda & Studio α Vega)
でしょ(笑)? でも、それこそ、今は「何も言わないのがいい」みたいな風潮で、ミュージシャンに何も言ってこない、必要なこと以外は一切関わらないライブハウスやスタジオもあるみたいですけどね。
そのあたりはStudio Leda/vegaさんともビジョンが共有されていました。それでは最後にメッセージなどありましたらお願いします。
僕は50歳も過ぎましたけど、固定観念、既成概念みたいなものに縛られないようにして、興味津々、自分自身も磨きながら、ミュージシャンなり、表現する方と一緒に舞台を作っていきたいと思っています。多くの方にそんな舞台を観に来ていただきたいし、また、そんな舞台で表現したいと思っていただけるなら、是非遊びに来て下さい!
お客さんだけでなく、演者にも伝わるメッセージです。本日はありがとうございました。
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