ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.65
西荻窪 SAWYER CAFE
- 西荻窪SAWYER CAFEについて
- 2010年5月にオープンした西荻のギャラリー&カフェBAR「ソーヤーカフェ」。JR中央・総武線「西荻窪」南口から仲通街アーケードをぬけて徒歩2分。「歌いつづけるカミキリムシ」をモチーフにした看板が目印だ。店内では生音ライブをはじめ、写真、絵画、書、版画などアート作品の展覧会を開催。手作りのお通しや食事メニューの充実もうれしい。席数13席(カウンター7席)、路地裏の小さな店の中にRockとArt、Spiritがあふれている。
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- 西荻窪SAWYER CAFE公式サイト
東京都杉並区松庵3-38-20 KURA松庵102
TEL:03-5344-9336
平日17:00〜 /土日14:00〜(水曜日定休)
ライブバー・カフェの中の人に話を聞いてみた〜 西荻窪SAWYER CAFE編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は西荻窪SAWYER CAFEを経営されているcomyさんにお話をお伺いします。ミュージックバーの多いエリアですが、オープン前後の経緯を教えてください。
この前の5月で7周年を迎えたので、8年目突入になりますね。それ以前も、うちの旦那がこの近くでSCARAB(スカラベ)というバーを10年ぐらいやっていて、2010年にこの場所をみつけてオープンしました。
最初からアートギャラリーとライブスペースというコンセプトをお考えだったのですか?
はい、ギャラリーは当初からの計画でした。音楽もやりたいと思っていましたが、音を出せる場所がなかなか見つからなくて。最終的に、ここの物件に収まったのですが、上が住居でして、あまり大きな音は出せなかったんです。なので、最初の1年はライブはやっていませんでした。
ライブができるようになったきっかけは?
私も旦那もずっとバンドをやってきて、音楽に関わりたい気持ちは強くありました。ただ、週一の休みでは、バンド活動もまともにできないし、ライブを観に行く機会もなくなってしまって。だったら自分たちのところにミュージシャンを呼んで、ここでライブをしてもらおう、ってノリでしょうか(笑)。そのうち、自分たちのライブもここでやっちゃおう、という流れになりました。
音に対する苦情は大丈夫でした?
今のところは(笑)。建物自体が賃貸ですから住人の入れ替わりなどもあって、この店も7年やっていますから、後から入居してくる人たちにとっては『元々ライブバーがある物件』程度に捉えてくれるようになっているのかもしれません。それといった苦情も出ないですね。うちとしても多少時間的なことは気にかけていて、22時くらいには音出しを終えるようにしています。
ドラムセットもありますね。本格的に演奏ができると拝見しました。
最初はカホンがドラム代わりでしたけど(笑)。自分たちのバンドに関して言えば、普段、ライブハウスでやるときは普通のドラムを使うので、結局、ライブ用にドラムとカホンの2パターンの演奏アレンジを用意していたんです。でも、やっぱりドラムセットの方がやりやすいってことで、これを導入したわけです。
ちょっと見たことのないドラムセットですよね。
この場所で、生声でライブをやるにあたって、そのバランスに合うドラムが市販のドラムセットでは、なかなか見つからなくて。それで、知人が小学生用のマーチングドラムを改造してドラムセットに仕上げてくれました。倉庫もない小さな店なので、バスドラはトイレにむき出しで収納されています(笑)。
なるほど、ユニークな形はそういう理由でしたか。しかし、知人の協力や地域の理解も含めて理想的なライブバーの在り方ですね。
そうですね。駅からも近いので、賑やかさも許容のうちというか、酒場文化が根付いている西荻らしい気風だと思います。
前のお店を閉めることきは、サラリーマンをやろうかって
このようなアーティスティックなアート&ミュージックカフェの経営は憧れる人も多いです。はじめるきっかけは何だったのですか?
なかなか夫婦2人が食べていけるような職がなかったからですよ(笑)。旦那がやっていた前のバーを閉めることになったときは、サラリーマンをやろうかってことも考えました。そのとき私は外で働いていたのですが、色々話し合って、夫婦2人でやれる場所 (バー)を探そうと。
経営的には順調に歩んできた?
順調とは言い切れないですね。うちは、お客様にお酒を飲んで頂くバーですが、とくにバー経営の部分を考えると、まあ、それほど順調じゃないです(苦笑)。現状は、イベントを入れていかないとなかなか難しいですね…。
それでも、8年目を迎えられていますよね。
そうですね、ライブイベントをやったり、展示のパーティーだったり、そういう日にガツっと稼いでいます、と言いたいところですが、そう思うように稼げない時もあり(笑)。
ライブやアートの部分が効いているのですね。出演する場合のペイバックなどはどのような感じですか?
ライブの時は、ミュージックチャージは100%バックしていて、店としては通常営業と同じテーブルチャージ500円を頂いています。通常営業時よりも多くのお客様に来ていただければ、収益アップにつながります。
それはミュージシャンにはうれしい設定ですね。お店を回すうえで大事にしていることはありますか?
自分も音楽をやっているし、この界隈にはミュージシャンがとても多い。出演してくれた人が対バンとして別の人を呼んでくれたり、お客さんとして観に来ていた人に『次やってよ』と声をかけたり、そうやって、人とのつながりを広げてくことですね。こういう小さい規模の店にはとても大切ですね。
生の歌声や音をダイレクトに伝えられる良さがあります
こういったBAR空間でのライブ特有のむずかしさはありますか?
うちの場合、マイクを使わない演奏が基本ですので、ここで演奏できる人がある程度限られてくることですね。それに小さな店内ですから、お客様も普通のライブハウスのように大きな声で雑談できないし、演奏中はちょっと気を使って頂いて、なるべく静かに、大きな音を立てないようにしています。
その分、じっくりと耳を傾けてくれそうですよね。
その通りです。静かにしてもらっているということがライブに素晴らしい効果をもたらしていると思います。静かに集中して音楽を聴いてくれると同時に、ライブをされる方にとっても、マイクを通さない生の歌声や音をダイレクトに伝えられる良さもある。なかには、ライブハウスとうちの両方であるミュージシャンのライブを観て、うちでやる生声が1番良いって言ってくださる人もいます。
comyさんもバンドをされているとのことですが、詳しく聞かせてもらってもいいですか?
音楽を始めた具体的なきっかけというのは覚えていないけれど、中学校ぐらいの時にはバンドをやりたくてしょうがなかったですね。高校に入ってからバンドを組んでベースをやっていました。
どのようなバンドをやっていたのでしょう?
当時はコピー中心で、ローリングストーンズやジョニー・ウインターの曲とか、ブルースセッションをやっていました。メンバーは30代後半のおじさんが2人、大学院生のおじさんがバンマス、あと、大学生のお兄さんという編成のバンドでした。
comyさんが高校生のときのバンドですよね?
はい、私は女子高生でした。ですので、当時の私にとっては、大学生のお兄さん含めて周りは全員おじさんと感じていました(笑)。
高校が終わると楽器屋かレコード屋に入り浸っていた
それにしても渋い面子ですね(笑)。一体どこで出会ったのですか?
当時、高校が終わると楽器屋かレコード屋に入り浸っていたのがきっかけですかね。メンバーのおじさんの1人は楽器屋の店長でしたし(笑)。楽器屋主催のイベントに出たり、大学祭に出たり、ライブハウスに出たりしていました。
それから本格的にバンド活動を?
バンドがやりたくて地元の岡山から上京してきたのですが、大学の音楽サークルを見に行ったら、みんな下手くそだしダサいなあ、と(笑)。なので、大学に入ってから一度バンドをやめちゃった。
ぶっちゃけますね(笑)。
大学の周辺もあまり栄えているような場所じゃなかったので、そのまま音楽から遠ざかってしまって、ダラダラと大学生活を過ごしてしまいましたね。次に本格的にバンドを始めるまでに、10年以上のブランクがありました。といっても、ずっと楽器は弾いていて、結婚式で演奏したり、遊びでスタジオに入ったり、そんな感じでちょくちょく演奏はしていましたけどね。
現在活動されているバンドは?
「岩田啓明&HOX」というバンドで、夫婦でリズム隊をやっています。
そちらのバンドもこのお店で観られるのですね。お手製ドラムのサウンドも楽しみです。それでは最後にSAWYER CAFEからメッセージをお願いします。
お店のメインはお酒ですけど、お酒を飲んでいる人がいる、ごはんを食べている人がいる、コーヒーを飲んでいる人がいる、音楽をやっている人がいる、絵を描いている人がいる、全然それらに関係ない人がいる。そんなふうに、いろんな人が寄合所のように集まれるお店でありたいと思っています。
comyさんの気さくな人柄を含め、どなたでも入りやすい素敵なお店です。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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