イベント会場の魅力探索ガイド Vol.8
神奈川県民ホール
開館44年目、待望の「大ホール」リニューアル
横浜港をのぞむ山下公園通りに面した「神奈川県民ホール」は、1975年1月の開館から芸術文化発展の一翼を担ってきた神奈川県による文化施設だ。2,433席の大ホール、公共ホール初のパイプオルガンがある小ホール、県内最大規模のギャラリーを備える。
その劇場「大ホール」が、44年目にして初めてホール心臓部の舞台機構をリニューアル。電気設備の入れ替えや客席のさらなるバリアフリーが充実。その進化を見てみよう。
舞台はフロアも一新。ナチュラルな木目カラーで明るく
舞台床を全面張り替え。オーケストラピットの床と柵も新調。舞台は奥行き18m、間口20m、高さ10mのプロセニアム開口。オーケストラや合唱、生音のコンサートで使用する「反響板」は塗り直しにより表面の厚みが増し、とくに低音域の響きが向上、より良い音で演奏を楽しめる。
*
スムーズな舞台転換と、ハイレベルな演出のための最新システム
バトンとは照明や舞台美術、幕などを吊る鉄製のパイプで、県民ホールでは全部で53本のパトンがあり、それらを動かす司令塔が「舞台操作盤」だ。
バドン1本あたりの耐荷重500kg(以前は200kg)、最大8本のバトンを同時に動かせるようになり、コンピューター制御で細かな位置設定や昇降スピードも変えることができる。
43年間、舞台下手袖で活躍してきた骨董品級の操作盤から最新のタッチパネル式の操作盤に"バトン"が受け継がれ、セリやオーケストラピットの昇降、作業時間が格段に短縮。映像を投影する「中ホリゾント幕」は透過性スクリーンになり正面・背面どちらからも投影できる。
*
すべての座席からステージ視界良好。やさしい施設を目指して改善
1階客席の通路には、列番号(5・10・15・20…)を記し、座席が探しやすくなった。暗い劇場内でもわかりやすいよう、床と壁の境目に白いラインを入れるなど、改善を重ねている。
2階席と3階席の背もたれに「手掛け棒」を新設し、傾斜のついた階段の上り下りも安心。
3階席からも舞台がよく見える。とくに最前列は1階席の後方や2階席よりせり出しているため舞台がとても近い。両サイドのウイングはさらに前に突き出ていて、舞台の視界が抜群。スタッフもおすすめのハイコストパフォーマンス席。
※大ホールは定員2,493人。1階席1,509席(オケピ使用190席減)、2階席304席、3階席620席、1階席に車いす席と立見スペース。
*
11t級トラックで劇場まるごと搬入可能な入口は「奈落」に直結
県民ホールでは、奈落がそのまま搬入口となっている。奈落とは仏教用語で地獄を示す用語だが、奈落の底、一番下から転じて、舞台の下という意味で使われる。セリが降下すると同時に、安全のための警告音が鳴り、転落防止の柵が自動で閉まる。
海外の劇場が丸ごと来日する通称「引っ越し公演」の場合、11トントラックで約30台、多いときは50台ものトラックで荷物を運び下ろす。コンテナが横浜港に荷揚げされ、税関職員の立ち会いのもと、ホール搬入口で関税手続きをすることもあるそうだ。港町の劇場らしい。
*
コンコースは埠頭と山下公園を見下ろす絶景ビューポイント
山下公園の緑と赤じゅうたんのコントラストが美しいガラス張りのロビー、海沿いの階段から氷川丸が見え、3階席ロビーから望む180度の絶景ビューはホール来場者だけのおたのしみ。
*
思い出=宝ものがつまった「魔法の箱」の第二幕がはじまる
県民ホールは貸館事業と主催事業が8対2の割合。オープン以来、常に高い稼働率を誇り、主催事業ではイベンターの主催公演ではなかなか見ることのできないオペラ・バレエに力をいれている。オペラ上演で実績のある県民ホールの舞台機構リニューアルを受けて、すでにヨーロッパ名門歌劇場の日本公演も決定。
*
所在地:横浜市中区山下町3-1 日本大通り駅からのアクセス・周辺駐車場・公式サイト
※このページはライブウォーカーによる企画・取材・編集コンテンツです。当サイトは神奈川県民ホールおよび神奈川県、公演主催者、スポンサー等とは関係ありません。また、敷地内の写真は許可を得て撮影しております。画像・文章の無断転載等は禁止いたします。
魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)