ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.94
下北沢 CLUB Que
- 下北沢 CLUB Que について
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1994年10月、初代店長 二位徳裕氏が中心となって立ち上げられた、インディーズレーベル「UK PROJECT」が運営する下北沢のライブハウス。ロック系を中心に日本を代表するバンドを多数輩出、実力派バンドが連日ブッキングされているシーンの最前線。バンドとともに音楽カルチャーをつくっていく運営スタイルで、出演者・企画者、それぞれにとって新たな挑戦と成長のステージであり続けている。ライブ後のパブタイムはバンドマン同士やお客さんの交流の場となっている。姉妹店に代々木Zher the ZOO YOYOGI
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世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンビルB2F
TEL:03-3412-9979
BAR営業 23:00~27:00 (金・土・祝前日を除く)
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 下北沢 CLUB Que 編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は下北沢CLUB Queブッキングの福田政博さんにお話をお伺いします。オープンはいつになりますか?
1994年10月1日オープンです。長い歴史があるライブハウスですが、僕はQueに入ってまだ1年半ほどです。まだまだ知らないこともありますが、自分の知る範囲でお話させていただきます。
ぜひよろしくおねがいします。では下北沢CLUB Queオープンの経緯からおしえてください。
約24年前、インディーズ・レーベルのUK PROJECT(下北沢CLUB Queの運営会社)でライブハウスをオープンしようという話があり、ライブハウス経験が豊富だった、二位徳裕が中心となって立ち上げしました。二位さんは、インクスティック芝浦ファクトリーと下北沢屋根裏という、規模もカラーも異なるライブの現場をみてきたので、そのふたつの良いところを取り入れる構想を考えたそうです。
二位徳裕さんといえば、下北沢ライブハウスカルチャーを作ってきた有名な方ですね。
はい、ライブハウス業界にはご存知の方も多いと思います。オープンからずっとQueの店長でしたが、2年ほど前(2016年)に、新しい店長の後藤に引き継いで、二位さんはQueと系列店「Zher the ZOO」の2店舗を監督的な立場でみてくれています。
Queの「清潔感」はバンドマンにも好評です。最近さらにきれいになりましたよね。
2015年7月に、ビル自体の耐震工事を行ったので、その期間、Queもお休みをいただいて、化粧室、エントランス、楽屋まわりを改装しました。
サウンドや音響面の特徴をおしえてください。
PAはQueオープンから大ベテランのエンジニアが担当しています。PAコンソールは時代の流れもあってデジタルミキサーを導入していますが、職人ふたりが、どのような要望にもベストな対応をしてくれます。ここまで技術を提供できる箱はなかなかないと思います。
バンドと一緒に音楽カルチャーをつくっていく
Queはロック系バンドの印象が強いですが、出演バンドのメインとなるジャンルはどのあたりですか?
Queはバンドと一緒に音楽カルチャーをつくっていこう、クオリティーを上げていこうというコンセプトでやっているので、ジャンル、という方向からは考えていません。そういう意味で(ジャンル的には)「なんでもあり」とうたっています。だからといって、むやみに広げていくようなこともしていないのですが。
Queのもっているカルチャーを基本に、バンドとの化学反応を期待しているという感じ?
そうですね。一緒にイベントやステージを作っていきたいので、たとえば「100%持ち込み企画で箱貸し希望です」みたいな場合は、ちょっと違うかな、というのはあるかもしれません。
ということは、出演バンドによっては相性もありそうですね。
しっかり活動しているバンドなら、だいたい進めていけるので大丈夫ですよ。内容によっては、Queとして譲れないようなモノもありますが…。最初の段階であまり、むずかしいイメージはもってもらいたくありません。どのようなバンドとも、話し合って、歩み寄っていきたいので、まずは気軽に相談してもらいたいと思います。
Queが企画している、おすすめのイベントをおしえてください。
ちょうど先月まで「CLUB Que 夏ノ陣」という毎年恒例のイベントを開催していました。対バンライブの醍醐味、2マンライブ企画です。今年もバンドのレベルが高くて、脈絡のなさそうな組み合わせから、ありそうでなかった組み合わせまで、予想もしなかった化学反応がおこる「これぞQue!」というクオリティでした。約3週間つづくイベントでしたが、たくさんのお客さんに来ていただきました。
盛り上がりが箱の外に向けて広がっていくのは、さすがQueの実力ですね。
ありがとうございます。でも、あえていうと、なかなかバンドマンがバンドを観に「夏ノ陣」に来てくれません。ぜひ若いバンドマンは、先輩たちがなぜ人気があるのかを観に来てもらいたいです。Queには立ち上げから現在にいたるまで、ずっと出演してくれている超ハイレベルバンドがたくさんいます。これほど実力者が連日出演している箱は、そうはないと思います。
そのとおりだと思います。Queのエネルギーをぜひ未来に引き継いでほしいです。
「夏ノ陣」は、VS(対決)と銘打っていて、ベテランと若手のバンドで組むようなこともしています。僕としては、そのレベルに食いついていける若いバンドを発掘、いや発明していきたいです。強者バンドを相手に、対等にやりあえるバンドがQueからでてきたら、すばらしいじゃないですか。クオリティの高いバンドからは大いに刺激を受けてほしいですね。
お客さん、出演者との適度な距離感を大切に
ぜひ実現してもらいたいです。若いバンドマンの「参戦」の序奏として、なにか提案はありますか?
公演終了後の22時過ぎから朝までパブタイムとして営業していて、出演したバンドの打ち上げにも使ってもらっています。そこに、スタジオ練習後の別のバンドマンが合流するなど、バンドマン同士、Queスタッフとも交流できる空間として機能しています。まずは話しをするだけでもよいので、そういう場をどんどん活用してもらいたいですね。
話すことで、感じ取れることも多い?
出演希望の場合、ライブを見なくても話せばその人が魅力的なかっこいいバンドをやっているかどうかわかるんですよ。Queでやりたいと言ってくれる人と良いステージを作っていきたいので、ガンガンアピールしてください。
ライブの熱と余韻を感じながら、気軽に話し合える場があるのはいいですね。
通常の対バンのブッキングイベントは3BANDで行っているので、お客さんからは全バンド楽しめると言っていただくことが多いですし、ライブ後のパブタイムは、バンド同士、落ち着いてじっくり話ができます。そういう出会いやそこで出たアイディアが、半年、1年を通してゆっくり温められて、すばらしいイベントに結実したり、「夏ノ陣」へ参加してもらえる可能性に発展したりすると思います。
なるほど。すこし話が変わりますが、福田さんが現場で気をつけていることをおしえてください。
Queにはバンド関係者ではない、一般のお客さんも多くいらしてくれるので、スタッフから過剰になれなれしく接客するようなことはしません。良い意味で受け取ってもらいたいのですが、そういう(一般の)お客さんにとって、スタッフとの距離が近すぎないほうが、かえって安心感にもつながったりします。おなじように、バンドマン、出演者との距離にも気を配っています。お客さん、出演者、スタッフの適度な距離感、関係性を大切にしています。
自信をもってQueに乗り込んできてください
では続いて、ご自身もバンドマンである福田さんと音楽の出会いについておしえてください。
僕は鹿児島県の徳之島出身で、中学生の時、友だちからコピーバンドに誘われて、学園祭に出たのがきっかけで、音楽活動をはじめました。それまではバスケ少年で、音楽とは無縁の生活だったんですけどね(笑)。
当時、影響されたバンドは?
ブランキー・ジェット・シティーとニルヴァーナには影響を受けました。バンドではギター&ボーカルでやっています。高校卒業後の2002年ころ、バンド活動のために上京しました。
どういう経緯で、ライブハウスのブッキング担当になったのですか?
東京にきて、渋谷のライブバーやライブハウスでバイトをはじめたのがきっかけですかね。Queに入る前は、渋谷CYCLONE、系列店の渋谷GARRETで長く働いていました。
渋谷CYCLONEやGARRETは有名なハコです。ライブハウススタッフとして経験豊富ですね。
現場の経験は豊富かもしれませんが、Queは他店とは、まったく違うスタイルですからね。過去の経験を活かしつつ、Queの方針とうまい具合に折りまぜて、新しいパターンを構築していきたいところです。
福田さんにとっても、Queは新しいチャレンジと成長のステージなのですね。それでは最後にCLUB Queからメッセージをおねがいします。
僕からはバンドマンへのメッセージになります。Queはブッキングの質にも価値を見いだしているハコで、そういう意味で、あえてちょっとした「敷居」があるのかもしれませんが、それは大切にしているモノでもあります。僕の仕事は、なぜその「敷居」があるか、その意味や価値を共有してもらって、そのハードルをこえて、上にのぼっていくお手伝いをすることです。実力とセンスをもつ若いバンドも増えてきてきました、ぜひ自信をもって乗り込んできてください!
大きな変化を迎える下北沢で、Queから新たなライブヒストリーが刻まれていくのを楽しみにしています。本日はありがとうございました。
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