ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.22
秋葉原CLUB GOODMANは2020年8月末をもって閉店(営業終了)したのち、同年10月にリニューアル再開しました。本記事の取材は取材当時(2015年)のものです。現在の運営情報はこちらをご確認ください。
- 秋葉原CLUB GOODMANについて
- 1996年にオープンした名門ライブハウス。「秋葉原」という渋谷や下北沢等のメインエリアから離れたロケーションながらもライブハウス界の絶対的存在として広く知れ渡っている。今やオタク文化の総本山である秋葉原。しかし秋葉原を代表するライブハウス「グッドマン」の名からそれらを連想させるアーティストは少数派である。それは彼らがライブハウスというものに対して明確なビジョンと信念を持ってここまで歩んできた証であり、その歴史とキャリアに尊敬を抱くものも少なくない。
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 GOODMAN編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

秋葉原 CLUB GOODMAN ブッキングマネージャー 鹿島 直広 氏
本日はブッキングマネージャーの鹿島さんにお話をお伺いします。GOODMANの歴史は長いですが鹿島さんが入られたのはいつ頃ですか?
僕が入ってからは今年で9年目となります。GOODMANは1996年にオープンしたので今年(2015年)が19周年です。
渋谷や新宿から離れた秋葉原というロケーションで独特の存在感を放っています。
渋谷や下北沢等のメインエリアでやっているものとまったく同じものをウチがやっていても、なかなか観に来てはくれないと思っています。なので、他のライブハウスにはないものをやろうって狙いはあります。僕自身もバンドをやっているので、現場で知り合った面白そうなバンドを呼んできて、他とはひと味ちがう組み合わせでブッキングしたりしています。
最近だと「ドラびでお」と「TADZIO」のコラボイベントが話題になりました。
そうなんです。でも、ドラびでおさんが急遽入院しちゃって実現できなかったんです。なので、4月にあらためてTADZIOさんと一緒に出てもらう事になっています。(編注※ドラびでお氏は2015年3月28日退院〜本人ブログによる)他にも、ライブハウスだけでは繋がれないような面白い人脈を持っている人にイベントをやっています。
ライブハウスでは繋がれないような人のイベント…。どんな内容なのでしょう?
例えば『夜のサービスセット』。映像・アート系の面白い人達による主に非音楽系のイベントですが、これがかなり面白くて。ここに音楽バンドを絡めてレギュラー化させました。通常のバンドの対バンだと良さを100%出せないようなバンドが『夜のサービスセット』みたいなイベントでハマったりするんです(笑)。
曲者が集まるわけだ(笑)。
他にも、華道の家本さんを連れてきて、ハサミにピックアップマイクをつけ、更にエフェクトをつけてパフォーマンスをする、なんていうのもあります。
何が起こるか行ってみないとわからない、ライブハウスの面白さ。
想像がつかない…、けど興味をそそられますね! 新鮮です。
今はインターネットで検索すれば大体わかっちゃうので、ライブにしてもイベントにしても事前の想像を越えるというのが難しいんです。だけど、ぶっちゃけ『夜のサービスセット』はフライヤーを見ても何をやるのか分からない。それどころか演奏中に受付のモニターで中の様子を見ても、やっぱり何をやってるかよく分からない(笑)。これこそライブハウスの面白さです。何が起こるか観に行ってみないとわからない、それを自分がどう感じるかってとこが面白い。
ある意味くじ引きみたいですね。人気漫画の『孤独のグルメ』では『下調べをしない面白さ』を追求したらしいです。
まあ常識的には、よくわからないものは観に行かないとは思うのですが(笑)。僕としては、よくわからないものこそ観に来てほしい。理解出来ないけど何かが面白い、そんなパフォーマンスができるアーティストはまだまだいます。そういう意味でも、このイベントは今後しっかりやっていきたいイベントの一つです。
※2015年5月5日に「夜のサービスセット・ スペシャル増刊号」が開催される。

ちなみにイベントの集客具合はどうでしょうか。
少しずつですが伸びてきてます。しかも、普段ライブハウスに来ないようなお客さんが来てくれるようになりました。良い傾向です。
それは嬉しいですね。でも長期的にみるとライブハウス全体の動員としては減ってきている?
バンド全盛期(90年代〜)から比べたらもの凄く減ってます。当時は、全く演奏できてないバンドとか、音がデカすぎて何やってるかわからないバンドとか、そういう理解不能なバンドで平日のブッキングが埋まってましたが、今のバンドはみんなある程度上手いし音もちゃんとしてる。
以前取材で「どこでも勉強できる環境になったから、技術の向上は凄まじい」と聞きました。
そうなんですよ。どのバンドも皆演奏は上手いし楽曲の作りもしっかりしている。一方で、刺激的でなくなってる側面はあって、クオリティーに反比例してお客さんが減ってしまっている感があります。
演奏や楽曲のクオリティー(動員には)関係ないんですかね?
クオリティーの高いものを観たいんであればライブハウス以外に沢山あるじゃないですか? でも、もっと「刺激的なもの」を求めている人も多いんじゃないかな? 今までに観たり聞いたりしたことのある範疇のものだったらライブハウスじゃなくても、そこら辺で聴けると思うんですよ。
無理して宣伝や告知をしなくても常に100人は集客できるライブハウスシーンを作るのが理想。
エネルギーや刺激こそがライブの醍醐味ですからね。今は過渡期なのでしょうか?
そうですねえ…。でも、全体的に見ても、ちょっとずつですがお客さんは戻ってきてるように感じています。ほんとにちょっとですけどね。去年までは予想の半分しか動員がないという状況だったんですが、今年からはその最低ラインよりはちょっと多く来るようになってきました。
少し動員が戻ってきたという話は耳にします。音楽業界に明るい兆しです。
うん。感覚としてありますね。まだレコード会社とか業界全体まで影響があるかはわかりませんが。今年の僕の理想はバンドが集まってイベントをする時、そこまで無理して宣伝や告知をしなくても常に100人ぐらいは集客できるライブハウスシーンを作ることです。
実現できる気配があるってことですよね?
あります! ただしそれは、バンドや関わる人の全てが、『リスクを背負ってでもやる!』という姿勢になってくれてこそ実現できることです。

今のご時世で100人呼べたら元気がでます!
90年代はダイレクトメールとフライヤーだけで80〜90人は来ていましたが、2000年以降緩やかに減ってきてしまって…。最近では情報(フライヤーなどでの宣伝・告知)を出そうが出すまいが、もうライブハウスには来ない人のほうが多いのです。なので『どうやって面白いイメージを伝えるか』『謎をどれだけ残して興味をそそるか』という、興味を引きつける仕掛け的な部分も重要になってきます。
「謎を残す」っていうのは良さそうです。
イベントのブッキングを考える時も、口コミ等で評判の良いバンドをいざ調べても音源や動画が全くネットに上がってないバンドもあるんですよ。そうすると、どうしても呼んでみたりするもんなんですよね(笑)。
バンドのホームページもなかったり(笑)。
困るっちゃ困るんですけどね(笑)。良いなあと思っても連絡の取りようが無いバンドも沢山いる。そういうバンドって、どうやってブッキングしてるんだろう(笑)?
謎を残すという意味では、ある意味成功ですね(笑)。
今は、それくらいの遊び感覚で一か八かをやれる時じゃないかな? まあ、謎の残し方が戦略的すぎるのもちょっとね…。最近は、狙いすぎてもすぐに見透かされちゃいますから。何にしても、まずは自分たちが面白いって感じてやることが大事です。
ライブハウスから離れてしまった人、今こそ帰ってくる時!

それでは最後に、鹿島さんの思いを伝えたい人達に向けてのメッセージをお願いします。
去年までは『このまま、ここまで苦労して音楽続けていて意味あるのか?』という状況でした。僕もそうだったし、どんなに頑張っても何をやってもお客さんは来ない。だから『自分たちは本当に楽しい事をしてるのか?』と、疑心暗鬼になってた人も多いはず…。
音楽に関わる多くの人がそう思っていたかもしれません。
努力してもお金を稼げるわけじゃないし、メジャーに行ったからといって仕事になる状況ではない…。実際、辞めてしまった人もいます。
でも今年になってから回復の兆しはあるので、ここで諦めずに頑張ってもらいたい。自分達が面白いと思う事をがむしゃらに、そして、皆で一斉に立ち上がれば盛り上がるはず。なので、僕もめげずに頑張っていきます。
そしてライブハウスから離れてしまった人達、今こそ帰ってくる時です! 全てがやりつくされて、焼け野原のようになってしまったけれど、やりつくされる前の事を知らない人たちが、新たに現れてきました。また少しずつ息を吹き返しています。今、ライブハウスに出てるバンドは本当に面白いので、一旦来なくなってしまった人達もぜひまた来てください!
みんな帰ってこい! 希望ある言葉をありがとうございました!
ありがとうございました。
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