ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.50
渋谷 La.mama
- 渋谷La.mamaについて
- 1982年、前身のプロミュージシャン専用のライブハウスから、アマチュアバンドも出演できるハコに転身し「La.mama(ラママ)」としてオープン。80年代後半のバンドブームを先駆けてインディーズバンドシーンの礎を築く。のちに日本を代表する多くのバンド、アーティストの活動拠点となり、全国にその存在を発信した。オープンから34年変わらない、ユニークな扇形のステージでロックバンドはもちろんアコースティック、ジャズ、ヒップホップからお笑いイベントまで今日も新たなエンターテインメントの歴史を刻み続ける。渋谷マークシティアベニュー口より徒歩2分。
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- 渋谷La.mama公式サイト
渋谷区道玄坂1-15-3プリメーラ道玄坂B1
TEL:03-3464-0801
出演バンド・ブッキング募集(詳細)
ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 渋谷La.mama編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
渋谷La.mama店長 河野太輔氏
本日は渋谷La.mama店長の河野太輔さんにお話をお伺いします。多くの有名アーティストが出演した歴史あるライブハウスとして有名です。オープンはいつになりますか?
『La.mama』としてのスタートは1982年5月10日です。来年(2017年)の5月で35周年です。その前は『ショーボート』いう名前のライブハウスでした。
オーナーさんが代わられたのですか?
いいえ、オーナーは当時から今も代わっていません。店名とともにお店のコンセプトを変えた感じですね。ショーボートは飲食をメインに、プロミュージシャンの演奏を楽しむようなお店だったようです。かなり過去の話なのでオーナーから聞いた話ですが。
お店のコンセプトを変えた理由というのは?もう30年以上前の話ですが…。
ブルーノートやビルボードのような、ちょっと格式の高いお店のスタイルを目指していたようですが、あまり経営的に良い状態とは言えなかったようですね。それで、アマチュアの方も出演できるようなハコに業態を切り替え、あわせて『La.mama』という名前に変えたそうです。
それが1982年で、のちのバンドブーム数年前なので先見の明アリですね。『La.mama』といえばフロアーセンターの「柱」が特徴です。
ホール内の作りも、34年前のショーボート時代から変わっていないのですが、昔のライブハウスには大きな柱があるところが多いんですよ。今から建物ごと作り変えられるのなら、柱は取ってしまいたいですけどね(苦笑)。
柱も歴史のうちですね。でもステージはとても見やすい作りですね。
はい、中央の柱に目が行きがちですけど、お客さんの(後方にある)座席の方には段差があって、ステージやフロアより高いので、背の低い女性でも観やすいと思います。
扇型フロアでどこからでもアーティストを間近に
これは後方席でも見やすそうです。後方席ではステージがほとんど見えないハコも多いですからね。
そして、1番の売りは、ステージとお客さんが近い所ですね。ハコの形状が縦長じゃなくて、扇型でパノラマ状なので、フロアのどこからでもアーティストを間近に見られます。
そうですね、ホール内に入ったときに感じました。最近の出演バンドの傾向について教えてください。
多分、国内のライブハウスの中で最も振り幅が広いライブハウスなんじゃないかと思っています。ジャンルで言うとロックが多いですけど、ジャズもヒップホップも、その他オールジャンルです。音楽以外では、30年以上やっているお笑いのイベントがあります。
お笑いライブは今でこそ(ライブハウスでも)増えましたが、30年となると相当な先駆けですね。
そう思います。今も、コント赤信号の渡辺正行さんが主催・司会で芸人育成の一環としてやっています。今月で350回目ですね。
ここしばらく、音楽業界は元気がないなか、新しいライブハウスがたくさんできています。このあたりの影響や現状についてお伺いしてもよいですか?
確かに、ライブハウスは乱立していますね。
ライブハウスが増え続けるのはなぜなのでしょうか?
簡単に言えば、ライブハウスって、スケジュールさえ埋まっていれば成り立つんですよ。普通の飲食店より(設備などの)初期投資がかかりますが、その後は、スケジュールを埋めてノルマ制でアーティストや主催者からお金がもらえれば、何とか回していける。
お客さんではなく出演サイドからお金をもらえるので、商売として簡単な部分があるのですね。
でも、個人的には、そういう部分だけに頼って運営をしているハコは「ライブハウス」とは呼びたくないんです。
一番力を入れるべきはブッキングや自社の企画
河野さんの考える「ライブハウス」というのは?
ハコとしての「意思」を持っていることです。ライブハウスと名乗るなら、一番力を入れるべきは自社によるブッキングや企画なんです。でも、最近は個人のイベンターさんが急激に増えていて、彼らにイベントを委ねているライブハウスが多い。僕は、それは『ハコ貸し』だと思ってます。
ブッキングこそがライブハウスの特色が出やすいですからね。
そうですね。以前はライブハウスの企画がもっと多くて、各ライブハウスのブッキング担当の特徴が出ていました。今のように、ハコ貸し(ホールレンタル)がメインのところが多くなってしまうと、ぶっちゃけ「ライブハウスはどこでもいい」ということになってしまいますからね。
La.mamaとして大切にしたい部分はそういうオリジナリティーの部分ですか?
もちろんです。うちが一番力を入れているのはブッキングと自主企画です。やっぱり、「ライブハウス=発信源」でありたいですね。おこがましいですけど、自分たちのやっているイベントはかっこいいと思ってますので、そこは絶対の部分です。
そのようなオリジナリティーでのハコ同士の競争で生き残っていくためには?
あたりまえですが、バンドにしてもお客さんにしても人が集まってくれなきゃ話にならない。いかに、来たいと思わせる魅力ある場所に出来るか、という部分ですね。
どうやれば「また来たい」と思ってもらえる場所になるのでしょうかね?
まずは実力、動員力のあるバンド、アーティストをブッキングすることですね。まあ、考える事は他も同じでアーティストの取り合いなんかが起こっている状況です。
人気、実力のあるバンドを積極的に探してブッキングすることもありますか?
YouTubeなどで気になるバンドがあったら、その情報を元にライブを見に行くことはあります。ライブを1度直接観ないとバンドの良さは分からないので。まあ、それでも、バンド全体の数が少なくなってはいますね…。
バンドを諦めたあと、頭に浮かんだのがライブハウスだった
それでは続いて、河野さんの音楽との出会いについて教えてください。
きっかけは、中学の時にバンドを組んで文化祭に出たことです。Hi-STANDARDなんかに影響を受けてました。ビジュアル系も好きだったので、X JAPANなどもやっていました。
担当のパートは?
ドラムです。最初は学校 の音楽室で練習していましたが、ドラムセットを買ってもらって、自宅でも練習していました。
自宅でドラム…。周囲から苦情が来ませんでしたか(笑)?
いやあ、それがもう、家の周りは、ほぼ田んぼなので、全然大丈夫でした(笑)。宮崎県の小さい町なんですけど、バンドがブームになっていて、夕方や夜になると、方々から楽器の音が聴こえてくるんです(笑)。
カエルの合唱ですね(笑)、ほほえましい田舎町です。
環境的には、アメリカの片田舎のようだったかもしれないですね。みんなで集まって、友達の家の倉庫で練習していました。
バンド活動は本格的にやっていたのですか?
はい、「バンドでご飯が食べられればいいなあ」と思って活動していましたが、20歳の頃に「自分はミュージシャンには向いていない」と気づいて、バンドはその頃に諦めました。でも実際、いざ、何の仕事をしようかなって思った時に、真っ先に頭に浮かんだのがライブハウスでした。
それでLa.mamaに入ったのですね。
はい。今年で32歳になるので、もう12年ここ(La.mama)にいることになりますね。
バンドが売れていく姿を見るのは1番嬉しい
ライブハウスの業務に携わってどうでしたか?
ブッキングで毎日のスケジュールを埋めるのが簡単ではなかったですね(笑)。それでも、アマチュア時代から見ているアーティストが売れていく姿を見るのは1番嬉しいし、やりがいを感じます。ライブハウスをやっていてよかったなあ、と思います。
河野さんからみて、売れていく、伸びていくバンドの特徴は?
共通して言えることは、貪欲さと勘の良さです。僕は、ライブが終わった後、アーティストと話す時間を作るようにしていますが、アドバイスしたことに『プラスα』を付けて活動してくれるバンドは売れますね。売れる人と売れない人の違いは『吸収力の差』だと思います。
柔軟な姿勢がカギになるのですね。それでは最後に、La.mamaからメッセージをお願いします。
僕は、1人でも多くのアーティストやお客さんと出会いたいと思っています。そして、その人たちの夢をつなげていきたいという気持ちでやっています。ここは、やる気や情熱を形にできる場所です。そういう熱い気持ちを持った人たち、ぜひLa.mamaに来てください。
情熱を形に出来るライブハウス、すてきです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
渋谷La.mamaでは出演バンド・ブッキング受付中。詳しくはLa.mama公式サイトへ。Twitter・facebookもフォロー!
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