ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.66
新宿御苑 ROSSO 198
- 御苑ROSSO198 について
- 新宿御苑前駅近くに2012年3月オープンした隠れ家のようなアーティスティック・ライブバー。『LIFE IS ART』をコンセプトにあらゆるイベントが実現できるアートスペースに、個性溢れる様々な分野のアーティストたちが集う。レンガ壁のモルタル造形やシャンデリアなど独特の内装で、アコースティックライブやDJイベント、ギャラリー、パーティー、上映会、TV・映画撮影にも利用されるアンプラグドな雰囲気が魅力。キャパ着席50・スタンディング最大150名。
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新宿区新宿1-19-8 サンモール第7ビルB1F
TEL:03-5925-8333
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ライブカフェ&BAR の中の人に話を聞いてみた〜 御苑ROSSO198 編
このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は新宿のライブバー・イベントスペース「御苑ROSSO198」オーナーの徳山幸則さんにお話をお伺いします。まずはオープンの時期や経緯から教えてください。
2012年にオープンしましたので今年で6年目です。自分でバーをはじめる前は、3年ほど中国にいたのですが、そこで商売に敗れて日本に帰ってきました。
なるほど……。それで、帰国後このお店(ROSSO)を立ち上げたのですか?
いいえ、帰国後はアルバイトをしていました。しばらくして、東中野で閉店したバーの物件を借りて、新しいお店としてオープンしました。経営なんてまったくやったことなかったのですが、これがうまくいっちゃって(笑)。だったら大きい店もやってみようと思い、オープンしたのがこのお店です。
こちら(ROSSO)の経営も引き続き、順調にすすんだのですか?
それが大きいお店にしたものの、最初は客が誰も来なくて商売にならなかった (苦笑)。3年ぐらいは赤字でしたね。
どのように立て直していったのでしょうか?
まず、このエリアのような入れ替わりの激しい立地のお店に、ご近所の方や一般の方に来ていただくのは相当難しいですよね。そうなると、まずはイベントの強化。それをきっかけにした集客やリピートが勝負どころだと思いました。
確かに、フラッと飲みに立ち入るような場所ではないかもしれませんね……。
それで、まずは自分の感覚を頼りに、おもしろいと思うイベントを増やしていきました。音楽や映画関係の方たちの力も借りて、アップライトピアノを入れたり、ポールダンス用のポールを入れたりして、対応できるイベントジャンルをどんどん増やしていったことが徐々に集客につながりました。
イベントに足を運んで、ここに持ってくるようなこともした
なかなか、イベントを開催してくれるアーティストを探すのも難しいですよね。
今は僕とスタッフ2人だけですけど、ギャラリーや写真展のイベントにはたくさん足を運びました。つなげていけそうなものは、なるべく直接会いに行って、現場でお話してここに持ってくるようなこともしました。ほんとうに色んなイベントをやっています。舞台、音楽、ダンス、格闘技、そこの舞台の下でキックボクシングとか。時にはその後パタリと客が来なくなることもありましたけど(苦笑)。
ライブだけでなくギャラリーなど様々なイベントを開催したのですね
はい、今やギャラリー系は、ボールペン、油絵、日本画、鉛筆画、アクリル、チョークアートなど、色々なアーティストが増えてきました。
徳山さん流の集客のコツのようなものは?
例えばですが、絵や写真のアートギャラリー開催と同時にライブイベントを入れて、アートギャラリーに来られたお客様はゲストでご入場いただき、会場を盛り上げて、そこからパーティーイベントにつなげていく……、というような好循環が生まれる工夫はしてきました。
結果的にイベントが盛況になり、お店(の売上)にも還元してくる、という感じ?
そういうことですね。パーティーにつながれば、結婚式の2次会パーティー、お誕生日会、お料理会などに発展して、シャンパンタワー、チョコファウンテン、樽酒、餅つきなんかにつながって。
まさに「新宿」を象徴するパーティーですね(笑)
僕はずっと飲食業界でやってきたので、集客して収益を上げるのは、パーティーが最適だと確信していました。なので、あらゆるつながりを最終的にパーティーにたどり着くような作りは心がけていました。それこそ、「パーティーピーポー」の習性まで研究しましたよ(笑)。
つぶれたらまたオープンすればいいじゃないですかね(笑)
かなり核心的な、お店のビジネス戦略をお話いただいている気がしますが、そこは大丈夫ですか?
ああ、大丈夫です。こういうことって、隠してもできる人はどんどん出てきちゃうので。むしろ、ぶっちゃけた方がおもしろくないですか?
といっても、このエリアも競合店がとても多いと思いますが……。
まあ、何かを話してつぶれるようならそれまでの店なので(笑)。僕もいろいろ失敗してきて、もう、そういう恐怖心がなくなったんですよ。焼肉屋をやった時は狂牛病、アメリカにいた時代はロス暴動とノースリッジ地震、中国の時は反日デモ…。だから、いつ死ぬかわからないし、そんなことは考えていてもしょうがない (笑)
そのような経験がお店をやっていく自信につながっているのですね?
そもそも、お店ってほとんどはつぶれちゃうものなんですよ。オープンしてはつぶれての繰り返し。つぶれたらまたオープンすればいいじゃないですかね(笑)。
それでは、次にイベントのことについてお伺いしたいのですが、昨年(2016年)、台湾でイベントを行ったそうですね。
はい。『アニロッソ』というROSSO発のアニソンLIVEイベントを台湾でやりました。台北の花博公園という大型商業施設の近くにあるハコで、僕が10ヶ所くらいの会場を下見して決めました。ポップカルチャーに敏感で、外国人もよく集まる場所というのが好都合でした。
実際、イベントをやってみた感触はどうでしたか?
現地でコスプレして来た人は入場無料にしたこともあり、見た目の訴求力という面でも大成功でしたね。Facebookから「イタリアの野外公園でやりませんか?」なんて話もきましたよ。嘘か真がわかりませんが、アニソンは世界に通じるのでね(笑)。
台湾公演のきっかけは、やはり近年のアニソン人気?
というよりは、むしろ逆で、当時アニロッソは、集客の努力などの部分が少し弱く見受けられました。台湾公演で、少しでも意識が上がればと思いました。
そのあたりは、多くのミュージシャンの課題ですね。
彼らに気合を入れるために「1年後に台湾で公演しますので、出演したい方はパスポートを取って現地に集合してください」と言いました。そこまで自分で出来ない人は来なくていいし、たぶんそこから先も無理ですよ、ということで。でもみんな頑張って来てくれて、うれしかった。
徳山さん自身のイベントもあると聞きました。
自分が好きなアーティストをまとめたイベント『TOKUYAMA FAVORITE ARTIST』ですね。そこは音楽だけでなく、ファッションモデルウォーキングショー、映画、演劇などジャンルレスに、店のコンセプトを象徴するようなイベントです。
お気に入りのミュージシャンのプロデュースにもつながりそうですね。
それはありますね。僕は、誰かにミュージシャンやバンドを紹介してもらっても、聞くことはあまりないのですが、ある時、偶然紹介してもらった、とあるバンドを聴いてみたら、予想以上に良くて。そのままライブを観に行って、名刺を渡して『ぜひうちの店でCDを扱わせてほしい!100%バックでいいから!』と、店内でのCD販売まで及びました(笑)。
なんというバンドですか?
『VOLOMUSIKS(ボロムジクス)』というバンドです。ある時、アイドルイベントで箱貸しをしたのですが、夜12時を過ぎてもポツンと残っている方が数人いました。その人たちを集めてみんなで飲んで、LINE交換をしたら、某TV局の方もいて、それで僕が推しているVOLOMUSIKSをなんとか売り出せないか相談しようと、後日イベントにお招きしました。
完全にプロデュースしていますね。
かなりの融通の利く方で、今まで通りバンドのしたいようにして売りますという条件で事務所契約に至りました。
理想的なステップアップです。
さらに、イベントには『kukatachii』というバンドも呼び、「彼らもどうにかしてほしい」と伝えますと、「某県の神社のフェスやるから出る?」と誘われました。バンドも、1ヵ月後の話なのに、スケジュールの確認もせずに出演OKしてくれて。そのステップワークの軽さが功を成し、マネージメント・レーベルと契約にいたりました。このバンドは、アメリカのアパレルブランドのCMで流れ、今年JAPAN EXPO Parisに出演しました。
この業界、人のつながりで道が開けることが多いですからね。
僕のイベントはTV関係者、映画関係者、カメラマンとかいろんな方がゲストで入れますので、出演者はとても喜んでくれます。先述のバンドが右肩上がりなので、他の共演者の方たちも「何か面白いことが起きるかも!」と、期待してくれていると思います。
その発信力はアーティストにとっては心強いですね。
発信力というよりマンパワーですね。毎日が必死ですよ(苦笑)。
本日は貴重なお話をありがとうございました。それでは最後に御苑ROSSO198からメッセージをお願いします。
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