LiveWalkerが取材したライブハウス・インタビュー特集(全111回・2013年7月〜2020年2月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

ライブやろうぜ!ステージファイル Vol.102

新宿御苑 MERRY-GO-ROUND

MERRY-GO-ROUND について
小粒でもぴりりと辛い、スタンディング50人「新宿の超極小ライブハウス」。ロック、ヘヴィメタルからアイドル、トークライブからお笑いイベントまで、生音でも爆音でも、あらゆるスタイルに臨機応変に対応。アーティストと観客の距離は極わずか、ライブの楽しさを濃縮した迫力のステージは、系列店WildSideTokyoのスタッフ、PAエンジニアが総力サポート。気軽にライブできるうれしい料金設定でワンマン・イベントも実現。新宿御苑前駅から徒歩5分。
MERRY-GO-ROUND へのお問い合わせ
新宿御苑MERRY-GO-ROUND 公式サイト
新宿区新宿1-31-3 ダイアパレス新宿1丁目B-107号
TEL:03-6273-1988
出演ブッキング・イベント募集中
新宿メリーゴーランド

ライブハウスの中の人に話を聞いてみた〜 MERRY-GO-ROUND 編

このコーナーはライブハウスでバンドをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

新宿御苑MERRY-GO-ROUND店長 高長剛志氏

本日は新宿御苑前のMERRY-GO-ROUND店長、高長剛志さんにお話をお伺いします。オープンはいつになりますか?

2013年8月のオープンで、今年で6年目です。

MERRY-GO-ROUNDは、以前特集させていただいたWildSideTokyoの系列店ですが、MERRY-GO-ROUNDをオープンした経緯をおしえてください。

ある日、「こういう物件があるんだけど…」と連絡をもらったことから興味本位で見に行ったのがきっかけです。音楽好きの大家さんが、友だちを集めて遊んだり練習場所として貸したりしていたスペースで、もう使わなくなったからどうかな、ということで。

よくある「物件との出会いが…!」的な?

いや、その時は系列店を作るということは考えていなかったので、「ああ、こんな所にあったんだな」と思ったくらいでした(笑)。でも、その物件は、お店としての営業はしていなかった割には、居抜きで使えそうだし、機材からなにから全部揃っていて。

趣味目的の空間なのに、ライブハウスの設備が整っていた!

それで、条件も提示してもらいましたが、正直、掛け持ちでやるには、ちょっときつかったのでお断りしました。そしたら「なぜですか?」と問い返されちゃって(笑)。

グイグイきましたね(笑)。

なにしろ新しいライブハウスをオープンする計画もなかったので「この条件だと厳しいです」と伝えたら、すごくリーズナブルな初期設定を提示してくれて。だったら、近場だし、また別のおもしろいことができるかなと、半分ノリで決めちゃいましたね(笑)。

費用に折り合いがつけば、ライブハウスの物件として最適ですからね。

はい、防音や機材、バーカウンターも含め、ほとんど揃っていました。PAブースだけホームセンターで材料を調達して作った程度です。

コンパクトな箱ですが音響機材も充実しています。

ライブバーや小箱ではボーカルだけマイクを立ててアンプを通して、楽器類は生音というスタイルが多いと思いますが、うちはPAエンジニアがいて音響機材も入っているので、迫力あるサウンドで鳴らせます。もちろん、好みや状況に応じて、ご要望のスタイルに臨機応変に対応します。

このキャパの箱でも、楽器はPAを通したほうよいですか?

僕もライブバーでライブ経験があるので、自分たちでバランスをとれば、それなりの音にできることは知っていますが、客席がお客さんで埋まると、ステージの高さもないので、後方での聴こえ方が変わってきます。やはり、ちゃんとPAに任せたほうが安心だと思います。といってもスペースは限られているので、スピーカーを吊るなど、いろいろ工夫しています。

スタッフ全員に系列の両店舗を把握してもらうスタイル

WildSideTokyoとの違いについておしえてください。

まず、キャパが違いますので、WildSideTokyoへのステップアップとして使ってもらえますし、今はまだ集客が弱いバンドでもMERRY-GO-ROUNDならワンマンイベントが打てます。WildSideTokyoの出演バンドも、趣向を変えた実験的なライブや、バンドとお客さんとの距離が近いので交流会を兼ねたイベントを開くなど、使い分けてくれています。

2店舗を運営するにあたって、高長さんが徹底していることはありますか?

複数の店舗をもつライブハウスの多くは、ぞれぞれの箱に店長や専任者が配属されていると思いますが、うちはあえてスタッフ全員に系列の両店舗を把握してもらう、というスタイルでやっています。

他社の例では、系列各店舗の責任者や担当のスタッフが配属されていることが多いですよね。

うちは2店舗だけなので可能なのかもしれませんが、僕自身が、そのような系列店をもつところで仕事をした経験から、各箱に担当者をつけるデメリットもあるのでは?と感じたことがあったので。

デメリットというと?

店舗同士が競い合うような感じで、同じ日に同じようなイベントやライブを開催して、系列内でお客さんの取り合いになってしまうのは、なんだかもったいないじゃないですか。いくら系列店とは言っても、そこまで把握するのもなかなか難しいのは分かっていましたので。

お客さんが分散してしまうのは、バンド側にとってもうれしくないですからね。

スタッフ全員が両店舗の状況を把握していれば、そういった事態はコントロールできるし、全員で協力的して盛り上げていけると思ったので、専任スタッフは付けませんでした。

スタッフ総動員のサポートは心強いですが、逆に困ったこと等はありませんか?

あえて言うなら、それでも、どうしても同じ日に、似たようなイベントが入ってしまうことがあって、そういう時に「自分はどっちに行ったらいいんだ?」というスタッフの悩みがあります(笑)。スタッフもうちのイベントを楽しみにしているので。本当にスタッフのみんなには感謝しています。

スタッフも楽しんでいるというのは大切なことですよね。全員が両店舗を見るとなると、けっこう忙しいような気もしますが。

やることや、考えることは倍になりましたが、楽しんでやっているので大丈夫です。他から見ると大変に見えるかもしれませんが…。

MERRY-GO-ROUNDのように気軽にライブができる場所はいいなぁと思う

前回の高長さんへの取材から3年半ほど立ちました。その後の変化についておしえてください。ご自身のバンド活動の事でも構いません。

個人的な話ですが、自分のバンドのファーストアルバムがリリースできました。いろいろライブに呼んでいただける機会も増えて、MERRY-GO-ROUNDのように気軽にライブができる場所はいいなぁ、と実感しました。そう考えると、日本中にこういったライブハウスがあって助けられています。本当にありがたいことです。

リリースおめでとうございます!2店舗を運営しながらレコーディング、ライブと精力的ですね。

メンバーの歳も近いので、無理なく、自分たちの生活を第一にしてマイペースで活動しています。まあ、好きでやっているだけですよ(笑)。

ライブハウス業界で変化を感じたことはありますか?

まだ3年くらいですから、大きく変わったことはありませんが、ライブやイベント告知をネットやSNSを使って宣伝する人が確実に増えました。そして、紙のチラシを作る人は、だいぶ減ってしまいましたね。

ライブハウスといえば、たくさんのチラシが雰囲気を盛り上げてきました。

そうですね…、チラシがまったく無くなるのはさみしいかな。チラシから情報を得ている人もまだまだいますし。でも、とくに若い子は、なんでもネットで見ているからチラシはいらないみたいですね。紙のチラシもネット上にアップされた画像データで見ている。いずれにしても、ライブ情報もインターネット上がメインになってきました。

すこし味気ない感じもしますが、それも時代の波、ということですね。

時代の波と言うと、2020年4月から、東京オリンピックの関係で飲食店での喫煙や分煙のルールがかなり厳しくなるんです。WildSideTokyoではすでに分煙していますが、MERRY-GO-ROUNDはこのキャパですからねぇ…。禁煙にしてほしいという声も多くなってきていますが、他のライブハウスはどうするんでしょうか?

ライブハウスの運営にとっても、ひとつの転換点となるかもしれませんね。それでは最後にMERRY-GO-ROUNDからのメッセージをお願いします。

MERRY-GO-ROUNDはスタンディング50人と規模は小さいですが、ライブハウスと変わらない機材・環境でやれますし、なによりお客さんとの距離が近い。レンタル料もリーズナブルな設定にして、気軽に使っていただける場を整えています。なので、やりたいことはなんでも相談してください。できる限りの協力をしますので、ぜひ一緒に楽しいことをやっていきましょう。

楽しさが濃縮された、超至近距離ライブハウスMERRY-GO-ROUNDの魅力が伝わったでしょうか。本日はありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2019年5月)

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