イベント会場の魅力探索ガイド Vol.22
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
復興のシンボル、パブリックシアターの快進撃
文化復興のシンボルとして2005年10月オープンした舞台芸術専門の公立劇場・コンサートホール。「自ら創造し、県民とともに創造するパブリックシアター」を基本理念に、年間300以上の自主事業公演を行い、50 万人以上の入場者を迎える。
コンサートを主にオペラにも対応する大ホール(2,001席)、演劇を主とした中ホール(800席)、室内楽やリサイタルを主とした小ホール(417席)があり、2008年10月よりネーミングライツを導入。それぞれKOBELCO大ホール、阪急中ホール、神戸女学院小ホールの愛称となる。復興祈念コンサートなどの活動を継続的に行い、県民とともにまちを元気にするパブリックシアターとして愛されている。
*
ここでしか出会えない、音の魔術師が棲むマホガニーの森
西日本屈指の4面舞台をもち、オペラの自主制作上演も行うKOBELCO大ホールは、毎年話題の「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ」の本拠地。プロセニアム開口22.7m、客席の中通路から天井の高さ22.7mと立方体に近い形状の劇場空間で、コンサート時(満席時)残響時間2.0秒、オペラ時1.4秒の優れた音響性能を兼ね備える。
とくにオーケストラが活動しやすい環境づくりに重点を置き、すばやい転換が可能な電動レール走行式の音響反射板と床機構を採用。反響板を設置するコンサートホール形式では準備から約1時間で楽団に渡し、練習・リハーサルが始められる。
*
木の響きと静寂に包まれる2,001席の客席
KOBELCO大ホールは4層バルコニー形式2,001席、オーケストラピットを客席(XA〜XE)にすると最大2,141席のキャパシティ。無垢材で統一された内装は木のやさしさと温かみのある空間を演出。客席の床には比重1以上の密度の高いスポテッドガム材、壁はアフリカン・マホガニー。椅子の座面や背板にもマホガニー材を贅沢に使用し、客席に届いた音が耳元で豊かに響くように反響板の役割を担っている。
床下チャンバー空調システムにより初期の空調騒音に配慮し、音楽ホールレベルの25dbを基準にした「静けさ」を実現。
*
新構想のもと、復興への想いと力を結集
すのこ高31.2mのフライタワーに吊物バトン59本。吊物・床機構ともにコンピューター制御。オーケストラピット(前後2分割)、大迫り(3分割)と7つの切穴があり、4m下の奈落を使った演出にも対応。
震災を経て2000年に策定された新構想で、「復興のシンボル」として劇場設計に大きな変更がなされた。大ホールは可動式舞台機構をやめ、オペラ上演も可能な音楽主体ホールに転換。ホテルやショッピングセンターとの合築施設から劇場単体の整備へ変更され、地上レベルに大ホール舞台を置き、搬入やバックヤードの利便性、舞台技術やマネジメントなど運営面を重視したホールへと変化を遂げた。
*
ピアノ付きのプルミエ、機能的で使いやすい楽屋
KOBELCO大ホール楽屋は、指揮者とソリスト用のプルミエ、シャワー付き個室の楽屋1〜6、中・大部屋の楽屋7〜12。
プルミエとはフランス語でプルミエール[第一の]の意味。プルミエ1・2とも防音室対応ピアノ付きで、指揮者やピアニストが使うプルミエ1はグランドピアノYAMAHA CL常設。
大人数用の楽屋は、各椅子にひとつずつコンセントがあり、全員同時にドライヤーを使える電源容量。鏡のつなぎ目も歪みがなく、鏡台上のスリットにはタオル等がかけられる。
唯一B1の奈落にあるグリーンルームは、オケピへ出入りしやすいよう楽団員の出待ちスペースとして使われる。
*
天に向かって咲く四弁花とクローバーの広場
高さ7mのガラス張りのホワイエ、エントランス・デッキからつづく花びら型の断面をもつプレキャスト列柱が劇場へと誘う。
ピアッツァ(イタリア語で広場)と呼ばれる共通ロビーには、オリジナルグッズを揃えたショップ、自主公演に関連した企画展を行う展示スペース「ポッケ」があり、気軽に立ち寄れる場所として開放。わくわくと楽しさあふれるラインナップで、木格子の奥の新たな出会いに期待がつのる。
身近に触れられるパブリックアートとして、安田侃『天秘』(右下)、植松奎二『花のようにー螺旋の気配』、エミール=アントワーヌ・ブールデル『風の中のベートーベン』の彫刻作品を設置。
劇場の小さな森、レストランTHEATRE Le Boisでは、神戸北野ホテルのシェフが手がける神戸ビストロ洋食やランチメニューが楽しめる。
*
風に「想い」のせて、四季の花木が彩る高松公園
西宮北口駅・南改札口から屋根付きペデストリアンデッキで直結、雨天時もホールまで快適にアクセスできる。
芸術文化センター前の「高松公園」には毎日さまざまな人が訪れる。ケヤキの木陰やピロティで休憩したり、ガラスウォールを鏡にダンスの練習をしたり、緑と風を感じながら、思い思いのひとときを過ごす憩いの広場。
毎年恒例の「オペラ前夜祭」やクリスマス・イルミネーションなど、阪急西宮北口駅の東西南北4エリア(にしきた商店街、兵庫県立芸術文化センター、阪急西宮ガーデンズ、アクタ西宮)が力をあわせた地域活性化イベントが催され、まちのにぎわいを生み出している。
*
所在地:西宮市高松町2-22 西宮北口駅からのアクセス・周辺駐車場・公式サイト
※このページはライブウォーカーによる企画・取材・編集コンテンツです。当サイトは、兵庫県立芸術文化センターおよび兵庫県、公演主催者、スポンサー等とは関係ありません。また、敷地内の写真は許可を得て撮影しております。画像・文章の無断転載等は禁止いたします。
魅力探索ガイド一覧(バックナンバー)